研究課題/領域番号 |
16K02965
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
斉藤 信浩 九州大学, 留学生センター, 准教授 (20600125)
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研究分担者 |
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70227263)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 韓国語文法能力テスト / 中国人韓国語学習者 / 韓国語習得 |
研究実績の概要 |
中国内にある大学の韓国語学科で韓国語を第二外国語として学習している中国語母語話者114名(男24、女95)を対象に2016年12月に調査を実施した。被験者の平均年齢は245.36ヶ月歳(SD=18.59)、学習期間は22.91ヶ月(SD=8.09)であった。紙形式の四肢選択問題を試験監督の下、90分の時間内で一斉に回答させた。被験者は学習暦1年(12ヶ月~18ヶ月)を下位群(n=54)、学習暦2年(24ヶ月~30ヶ月)を上位群(n=60)とした。テストは、形態素変化(活用)24問、局所依存(助詞)24問、表現(接続助詞・文末表現)24問の72問から成る。形態素変化は規則活用と不規則活用がある。局所依存は初級範囲(主格・対格・向格・処格・具格)、中級範囲(与格・奪格・起点格・限定)、上級範囲(非限定・でも・強調)がある。表現は初級範囲(義務・経験・目的・禁止)、中級範囲(能力・準備・完了・変化)、上級範囲(習慣・価値・特例・様態)がある。クロンバックの信頼性係数はα=.840であった。 下位群と上位群の2レベル間の各文法項目の得点差を独立したサンプルのt検定で検証した結果、表現の中級範囲でのみ有意差がなかったが、それ以外の全項目では有意差があり、レベルの弁別力が確認された。項目間で得点差が出るか、反復測定の単純対比で検証したところ、下位群は、形態素変化(M=17.67,SD=.30)>局所依存(M=15.95,SD=.35)=表現(M=.15.63,SD=.47)、上位群は、形態素変化(M=19.40,SD=.30)=局所依存(M=18.90,SD=.37)>表現(M=17.71,SD=.50)となり、中国語母語話者でも形態素変化(活用)の得点が高く、局所依存(助詞)が次いでいた。 この結果から36問からなる韓国語文法能力テストを項目を絞り込んで作成していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度に予定していた日本での調査が未達成ではあるが、H29年度に計画していた中国での調査が前倒ししてH28年度内に実施できたことは大きな成果であった。国内の調査は今後十分に挽回できる。日本語母語話者の分析と、中国語母語話者の分析の作業順番が逆になっただけであり、研究の進行の上では殆ど問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度内に実施できなかった日本国内の韓国語学習者を対象に調査を実施する予定である。既に、韓国語文法能力テストは中国で実施しており、このテストの信頼性の再検討のために、日本語母語話者との比較を行う。文法能力と同時に、韓国語の読解能力も測定するために、韓国語能力試験(TOPIK)を参照した読解試験(初級・中級・中上級・上級)を実施し、文法と読解との関連性を分析する。分析方法は、T-DAPによる項目分析と、AMOSによる構造解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度繰越額は7215円であり、誤差の範囲内であると思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度繰越額は7215円であり、誤差の範囲内であると思われる。来年度の物品費等に充当したい。
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