研究実績の概要 |
本科研では,①児童の発達段階に応じて扱いやすい異文化間能力(以降IC)の構成要素(IC要素)の特定,②移行期用教材において扱われているIC要素の分析,③活動事例の開発などを通じたIC指導の普及・推進を目指した。本年は,この内、主として①と③を中心に行った。 ①について知見を得るため,本年は,同じテーマを題材にIC指導を計画・実践する際,児童の発達段階に配慮すると,学年に応じてどのように学びを深められるか,またその結果としてどのようなIC要素が育まれるか調査した。テーマとしては,移行期用教材に頻出する「色」に注目した。中学年の活動としては,成田(2018)による「虹を作ろう」に注目し,高学年の活動としては,共同研究者2名と計画・実践した「色と文化を考える」を取り上げた実践の結果,両実践において,異文化への感受性,興味,文化の知識などのIC要素が促される様子が観察された。一方,高学年では,自文化との比較,文化の解釈や,文化間の関連付け等中山(2017)において,小学生において扱うことが困難であるとされたIC要素についても促される様子が一部観察された。これらの結果は,学会にて発表した。 ③を推進するため,上述の通り,高学年対象の活動例を作成した。また,前年度に発表した実践例を英語論文にまとめた。これ以外では,IC活動のワークショップの実施や,学会発表,記事・論文等の執筆を通じ,ICを促す英語授業の普及・推進を志した。加えて,最終年度に当たるため,過去4年間の研究を総括する研究報告書を完成させた。 今後の課題としては,本研究を通じ開発・収集した活動事例を,児童の発達段階や,テーマごとに整理し,よりアクセスしやすい形に纏めていきたいと考えている。
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