研究課題/領域番号 |
16K02990
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
作井 恵子 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (70411907)
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研究分担者 |
Shiobara Frances 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 助教 (50750262)
山内 啓子 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (60411906)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外国語活動 / 小学校英語教科化 / Can-Do / アンケート調査 / インタビュー調査 / 教員研修 / 教員のニーズ / 教員の能力 |
研究実績の概要 |
小学校での外国語活動にたずさわる(あるいはその可能性がある)教員から小学校英語についての意識調査をするため、アンケート用紙を作成した。まず、どういった内容を織り込むかを研究代表者が先行研究などを参考とし、教員研修を目的とした研修内容を聞く項目として「教室英語」「ティームティーチング」を選択した。次に、教員の英語力を測るために「話すこと」「聞くこと」「読むこと」「書くこと」それぞれについての能力の自己診断ができるアンケート形式とした。アンケート調査では、教員自身が、自己肯定感を失なわないよう「どういう能力に欠けているために研修が必要か」という否定的な表現ではなく、「何ができるか」という肯定的な表現を用いたCan-Do形式を用いて100名あまりにアンケートを配布し36名から回答を得、その結果を学術論文として出版した。具体的には、アンケート調査前半の、「教室英語」「ティームティーチング」に注目しこの二項目についてどういった研修内容が必要かという結果を導き出した。 またアンケートに加え、質的研究を行うためインタビューを行った。研究代表者および研究分担者合計3人がそれぞれ二人ずつにインタビューを行ったため、合計6名にアンケートでは収集することのできない教員の小学校英語への考えを聞き取り調査することができた。平成28年度中には、インタビュー結果の文字おこしが70%ほど終了した。 これに加え、日本国外での外国語教育を視察し、日本の英語教育の参考にするため、研究代表者はNZの日本語教育について、研究分担者はイギリスでのフランス語教育、オーストラリアでの外国語教育、さらにもう一人の研究分担者は、タイのインターナショナルスクールでの英語教育を視察することにより早期外国語教育についての知識を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の目標であるアンケート用紙を作成し、それを配布・回収することができた。アンケート調査にあたっては、パイロット調査を行い、アンケート用紙の信憑性や妥当性についても検証した。これを100部配布し、36部回収した。このアンケート調査に加え、研究者3人でインタビュー調査に関する質問項目を統一し、研究代表者および共同研究者が、それぞれそれ統一された質問項目に関してインタビュー調査を行った。3人の研究者がそれぞれ二人ずつのインタビュー調査を行ったので計6人に聞き取り調査を行うことができた。3年間の研究計画で、平成28年度は主にデータ収集の時期と位置付けているので、研究はおおむね順調に進展しているといえる。また、代表者および研究分担者がそれぞれ海外の外国語教育を視察した。我が国が直面している課題を大義的にとらえ、小学校での外国語活動の早期化、外国語科の教科化にむけた我が国の外国語教育政策および小学校教員が技能や知識としてどういう研鑽を積むべきかという点で大いに参考になった。
ただ少し予定より遅れているのは、アンケート回収率が当初の予定より低いことである。これは、校区や学区によって外国語活動のあり方がかなり異なるため、異なる環境で働く小学校教員からアンケートを募りたいと考えたためである。ただやみくもにアンケート調査の数だけを集めるのではなく、幅広く異なる状況にいる小学校教員に意見を聞きたいとのことから、アンケート調査については予定より時間がかかっている。この点は平成29年度に引き続き継続していかなければいけない点である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29度は、上記のように引き続きアンケートを配布および回収し、小学校教員のニーズを検証する。また、これらの結果をインタビュー結果とともに分析し、現場の教師の英語能力の分析およびどういった研修内容が必要とされているかを検証する。この分析結果を国内・国際学会での発表および論文として発表する予定である。 また、その結果をまとめることで、小学校教員の研修教材として作成することができるかを考える予定である。これは、学会発表や論文として限られたオーディエンスに結果を公表するだけでなく、ウェブを媒体としていかに現場の教員に有用な研修の機会としてもらうかを慎重に内容を精査し、デザインに工夫をする必要がある。またICTの技術などを学ぶ必要があるので、こういった研修会などにも積極的に参加するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は、平成28年度にNZの日本語教育を視察に行ったが、これに関しては行く前に、被験者を確実に確保することができなかった。事前に何人かのコンタクトはあったが、出発までに授業が参観できるか、教員に実際にインタビューできるかが不確かであった。せっかく渡航しても、もともと計画していた授業見学ができるかどうかという確証がなかったため、平成28年度に関しては科研費を使用せず自費で渡航した。実際にNZに渡航して、被験者に直接研究目的や倫理に関する説明をすることで、インタビュー調査をすることができ、また授業見学を許可された。これをうけて、平成29年度はさらに焦点を絞ったテーマを定めることができ、被験者を確実に確保することができたため平成29年度には科研費を使用して渡航しても問題なく目的遂行できる。
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者は、平成28年度にNZのコンタクトを確立し、さらなる調査をすすめるために平成29年度に渡航費が発生する。これに加え、小学校英語で参考になるのは、アジア諸国の英語教育事情である。これについてコンタクトを通し、授業を見学し教員にインタビューできる段取りになった。これには研究代表者と研究分担者がそれにあたる。
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