研究課題
基盤研究(C)
本研究は、18世紀日本における儒教儀礼の急速かつ広範な普及の考究を通して、幕府・諸藩政権が社会秩序を強固なものとするため、忠・孝をはじめとする徳目を民衆に内面化させる効果をねらって儒教儀礼を利用したプロセスを明らかにするものである。本研究では、為政者に忠誠を尽くす民衆を生み出すことにより秩序維持を達成しようとする諸藩の統治戦略という大きなコンテキストにおける文化伝達と道徳転換の媒介者として藩校を分析した。
東アジア文化史
本研究の学術的意義は、従来、思想史の立場から研究されてきた18世紀日本の儒教を、文化史の方法によって考究したことにある。本研究では、18世紀日本における儒教儀礼の導入を、中国文化の日本文化への影響という伝達パターンとしてではなく、トランスカルチュレーションの過程として解明した。本研究の社会的意義は、近世日本儒教の研究を通して、日本文化の形成、とりわけ日本的道徳の形成についての認識を更に深めたことにある。