研究課題/領域番号 |
16K03007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
史学一般
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研究機関 | 北海道博物館 |
研究代表者 |
東 俊佑 北海道博物館, 研究部, 学芸員 (30370224)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 蝦夷地 / 場所請負制 / アイヌ / 帳簿 / 交易 / 近世 / 江戸時代 |
研究成果の概要 |
この研究では、サハリン(樺太)西海岸のウショロ場所(現在のロシア・サハリン州、オルロヴォ)のアイヌの給料、手当の額が個人ごとに記された帳簿『北蝦夷地用』の内容を分析した。 この帳簿の分析から、次の3つのシステムの存在が明らかとなった。第一は、「給料勘定」である。これは、13~59歳を対象に、会所がアイヌを労働に従事させるシステムであった。第二は、「撫育」である。「撫育」とは、5~12歳、及び60歳以上を対象に、一人につき1日米2合を支給するしくみであった。第三は、高齢者、鰥寡孤独者、長病者を対象とした特別な「撫育」である。これは長寿の人や生活困窮者に「手当」を支給するしくみであった。
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自由記述の分野 |
日本史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の近世蝦夷地研究では、アイヌは和人との交易によって、米、酒、タバコ、漆器、木綿、絹などを入手した、あるいは場所請負制の広がりにより、アイヌが和人の交易相手から働き手へと変化し、搾取・収奪の対象となったという理解が進む一方、こうした事象が起こる仕組みの構造的な分析は進展していなかった。この理由は、和人の商人とアイヌの取引・雇用の詳細がわかる史料(帳簿など)の数が少なく、史料自体の分析も進展してこなかったことにある。本研究は、北蝦夷地の事例ではあるが、帳簿の緻密な分析により、アイヌに対する支配や交易の構造をはじめて明らかにしたことに学術的な意義がある。
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