研究課題
基盤研究(C)
古代東北地域における個々の地域間での人々の交通のあり方や、それを支える交通路そのもののあり方に着目して、古代東北における地域間関係の特色を明らかにした。具体的には、伊治城や雄勝城などの城柵、河川や駅路などの交通路を介した各地域間の交通・交流の実態を明らかにするとともに、それらによってまとめられた「奥羽」という地域の枠組が持つ政治的特色など論じ、これらをつうじて地域史の視点から東北古代史を捉え直すことを試みた。
日本古代史
古代国家の支配領域の北進という観点から捉えられがちである古代東北地域・社会の構造を地域間地域間交通という観点から多角的に捉えるとともに、激しい歴史的変化をともなう東北古代史の展開を地域間交通のあり方という視点で捉え直し、残された文献史料の背後にある地域間関係のありかたを浮き彫りにした。広大な領域をもつ陸奥出羽両国の地域性に着目し、その相互関係を明らかにして、地域間を結ぶ「交通」への着目が東北古代史研究においても有効な視点であることを明示することができた。