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2016 年度 実施状況報告書

鎌倉時代史研究の再構築に向けた『平戸記』新訂本の作成

研究課題

研究課題/領域番号 16K03010
研究機関京都教育大学

研究代表者

吉江 崇  京都教育大学, 教育学部, 准教授 (50362570)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード日本中世史 / 史料調査 / 校訂
研究実績の概要

本研究の目的は、鎌倉時代史の基本的文献である『平戸記』に関して、信頼に足るような新たな校訂本を作成し、研究の基盤整備を行うことにある。初年度にあたる平成28年度には、唯一の古写本である伏見宮家本を用いた校訂作業を実施するとともに、江戸時代の新写本について写本調査を行った。
伏見宮家本を用いた校訂作業については、研究協力者など8人で構成される校訂会を11回開催し、9巻からなる伏見宮家本第7巻及び第8巻の校訂作業を実施した。これで伏見宮家本の残りは第9巻のみとなり、平成29年度の前半には伏見宮家本の通覧を終える予定である。
写本調査に関しては、国立国会図書館、国立公文書館、宮内庁書陵部、東京国立博物館、神宮文庫、刈谷市立中央図書館に赴き、合計19種の写本を調査した。平成28年度に調査した写本を含め、これまで調査を終えた写本は23種となるが、調査の結果、含まれる年次の内容などから、写本は6系統に分類できることが判明した。平成29年度以降も引き続き写本調査を実施し、伏見宮家本を底本とする箇所の対校本、伏見宮家本が存在しない箇所の底本及び対校本を確定することとする。
その他では、今後の作業のしやすさを考えて、史料大成本の入力作業を行った。全体の4分の3程度が終了し、これも平成29年度の前半には終える予定である。また、底本、対校本となる可能性の高い陽明文庫所蔵の近衛家本、京都御所所蔵の東山御文庫本、京都大学附属図書館所蔵の平松家本に関して、紙焼き写真を入手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度である平成28年度には、上記のように11回の校訂会を開催し、19種の写本調査を実施した。その結果、伏見宮家本を底本とした校訂作業は、平成29年度前半には終了する可能性が高く、また、おおよその写本系統を把握することができた。当初、予定していた人名比定作業については着手できなかったが、その下準備としての資料入力作業は進展し、今後の作業に寄与するものと思われる。
以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

上記のように、初年度である平成28年度においては、校訂作業及び写本調査の双方において、一定の成果をあげ得たものと考える。その成果をうけて平成29年度では、前半に伏見宮家本を用いた校訂作業を終了し、また、さらなる写本調査を実施して、底本と対校本を確定することを目指す。さらに、平成28年度には着手できなかった人名比定についても、人名比定の方法を検討した上で作業に着手し、逸文に関する写本調査も開始する予定である。
本研究は3年で実施するものであるが、最終年度である平成30年度には、新訂本の刊行に向けて、調査成果をまとめる作業を行いたいと考える。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じたのは、支出を予定していた写本の紙焼き写真の入手が、所蔵機関の状況から次年度にずれ込んだことが主な理由である。

次年度使用額の使用計画

上記のように、次年度使用額が生じたのは、支払を予定していたものの入手が次年度にずれ込んだことによるものであり、当初の予定通り、その入手費用にあてる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 今正秀 摂関期の政治と国家2016

    • 著者名/発表者名
      吉江崇
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 952 ページ: 49-50

  • [図書] 東大寺の新研究2 歴史のなかの東大寺2017

    • 著者名/発表者名
      栄原永遠男ほか編 吉江崇著
    • 総ページ数
      735
    • 出版者
      法藏館

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公開日: 2018-01-16  

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