研究課題
基盤研究(C)
本研究は、鎌倉時代史研究の基本的文献である『平戸記』について、信頼するに足るような新たな校訂本を作成し、研究の基盤整備を行うことを目的としたものである。これまでの研究で一般的に使用されてきた『平戸記』は、1935年に公刊されたものであり、その校訂には少なからぬ不備が存在した。そこで本研究では、現在まで伝わる『平戸記』の写本について調査を実施し、どの写本がよいテキストであるのかを確定させた上で、新たな校訂本を作成した。
日本史
本研究が分析対象とした『平戸記』は、鎌倉時代中期に活躍した公卿・平経高(1180-1255)の日記である。そこには、当時の宮廷社会の動向や公武関係の様子を知る上で重要な記事が存在しているだけではなく、新たに興った浄土宗的信仰に基づく仏教儀礼や、漢学的な知識に関する情報も多く含まれている。『平戸記』の記載内容は鎌倉時代史を研究する上で欠かすことのできないものであり、信頼に足るような新たな校訂本を作成したことは、学術的意義が高いものと考える。