本年度は、幕末・明治初期における日伊交流史を中心とした学術専門書の作成を継続しながら、今後の研究に役立つ新たな未刊史料を収集できた傍ら、研究成果を国内外で発表することができた。主な研究成果は以下の通りである。 第一に、イタリア・ピエモンテ州、ラッコニージ村(ラッコニージ城)において2018年9月14日~11月20日に開催された展示会「SETA - Il filo d'oro che uni' il Piemonte al Giappone」(絹~ピエモンテと日本を結んだ黄金の糸)の学術委員・出品者として活動した。開会イベントに明治維新前後の日伊関係を中心とした口頭発表を行い、また、この展示会のカタログ(同名)の編集・執筆活動に協力した。 第二に、1873(明治6)年にイタリア王族と共に来日した際にイタリア海軍将校カミッロ・カンディアーニ(Camillo Candiani)が遺した貴重な一次資料(書簡)がイタリアで書籍として刊行された。その際、書簡本文の監修、序文そして日本とその文化および幕末・明治史に関する脚注の執筆を担当した。また、2018年7月にイタリアで刊行された一般著書「Riflessioni sul Giappone antico e moderno III」において、「Il giornale di un viaggio nel nord del Giappone di Giacomo Farfara」(ジャーコモ・ファルファラの日本北部における旅行日誌)というイタリア語による学術論文が掲載されました。 最後に、アメリカ共和国・ニューヨークのStony Brook University、そしてイスラエルのテル=アビブ大学において開催された国際シンポジウムに参加し、幕末・明治初期をめぐる研究発表(英語)を行いました。
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