本研究は、日本中世における荘園制の成立過程を解明するため、荘園の現地調査を行う際の新たな方法論を確立することを目指したものである。具体的には、東大寺領伊賀国鞆田荘(現在の三重県伊賀市 阿山地域)を対象に、GISソフトなどの近年のIT技術を活用して、明治期に作成された地籍図上の地割を、空中写真および2500分の1地形図上に復元するとともに、現地調査によって水利灌漑の現況と明治期の灌漑用溜池の位置をGIS上に復元する作業を行った。これにより、測量技術が不十分な中で作成された明治期の地籍図と、近代的な測量法に基づいて作成された現代の地形図および空中写真とを統合してしていくスキルが確立できた。
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