研究課題/領域番号 |
16K03030
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
笹部 昌利 京都産業大学, 文化学部, 助教 (20399059)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本近世 / 丹波亀山藩 / 松平家 / 地域社会 / 旧大名家文書 / 幕末政治 / 京都守護 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本近世において丹波国亀山(現、京都府亀岡市)を領有した松平家(形原松平家)の関係資料で、特にこれまで京都府立総合資料館に所蔵が確認されながらも閲覧することができなかった史料「松平家資料」を重点的に調査することにより、日本近世における領主権力の政治制度や支配構造について問い直すとともに、日本近代の地域社会と旧大名家との相互補完的な関係を明らかにすることを目的とするものである。しかしながら、本研究で調査対象としていた京都府立京都学・歴彩館蔵「松平家資料」の調査、撮影は、所有者の翻意により執行することができなかった。平成30年度は、次のとおり調査および作業を執行した。1、京都府立京都学・歴彩館蔵「松平家資料」中、「藩士嗣系要覧」第四巻の翻刻をおこなった。また、亀岡市文化資料館蔵「亀山藩史料」の高画質、デジタル撮影をおこなった。2、丹波亀山に所在した形原松平家と縁戚関係にあった延岡藩内藤家文書の調査を平成29年度に引き続いてとりおこなった。3、幕末期京都の守護に当たった譜代大名家、福山藩阿部家関係の史料を福山市立福山城博物館において調査をおこなった。家老家の下宮家文書は、江戸時代の藩政をうかがうことができる重要情報とされる。今回は幕末期の軍事関係の史料を中心に調査した。浜本文庫は、近代の郷土史家、浜本鶴賓のコレクションであるが、幕末期における譜代藩の政情にかかる史料も散見され、貴重な歴史情報であると評価できる。今後は、撮影史料の内容分析に取り組みたい。4、幕末京都における大名家の軍事動向を考察した研究として、笹部昌利「禁門の変と畿内諸藩の軍役」(『京都産業大学日本文化研究所紀要』第24号)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主要事業である京都府立京都学・歴彩館蔵「松平家資料」の調査は、対象とする史料の所有者の意向によって撮影が不可能となったため、調査の進展が望めない状況となった。今年度については、その対象を他大名家に広げ、亀山藩松平家との関係性、大名家としての相関性について検討するべく調査をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は以下の内容について、とりおこなう予定である。 1、「亀山藩史料」を中心とする調査資料の分析をおこなう。連携研究者とともに、研究会をおこない、同史料にかかる考察分析をおこなう。 2、丹波亀山藩松平家の史料にかかるシンポジウム、ないしは公開研究会をとりおこなう。 3、調査報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の主要事業である京都府立京都学・歴彩館蔵「松平家資料」の調査は、史料所有者の意向で撮影を旨とする調査が不可能になった。平成30年度は、撮影費としていた予算を、そのまま亀岡市文化資料館蔵「亀山藩史料」および関連資料の撮影費に読み替えて執行したので、平成31年度は、調査成果をまとめて調査報告書を作成するとともに、調査内容にかかる公開研究会をとりおこない、成果を広く公開したい。
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