本研究の成果は、近代日本における軍備拡張計画の実施が大きな影響を与えたことを財政・外交・政治・経済の各分野において検証したことである。軍備拡張計画の成立は当時の外交・政治の結果であったが、それは財政・経済に大きな影響を及ぼし、ひいては外交・政治の変化をもたらした。その変化は、日清戦争へと繋がっていく重要な側面を代表している。当時の日本政府および政治家たちの主流派が必ずしも清国との戦争を望んだとはいえないが、軍備拡張計画の実施がそうした条件を整えたといわなければならない。こうした諸点は、現在においても歴史的教訓として大きな意義を持っていると考えられる。
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