研究課題/領域番号 |
16K03036
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高村 竜平 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30425128)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 在日朝鮮人 / 地域史 / 鉱山 |
研究実績の概要 |
本年度は、1940年代の調査対象地域に関する文献調査を中心に行った。とくに朝鮮大学校図書館に所蔵されている、「布施辰治弁護関係資料」から、大館市周辺で在日朝鮮人が密造酒にかかわり起訴された裁判の弁護記録を入手し、現在解読中である。本資料には取り調べや裁判のやりとりだけでなく、来日した経緯や生活の状況に関する聞き取り調査の記録もあり、多方面から分析可能なものであることが確認できた。 また、在日朝鮮人にかぎらず戦後のこの地域の歴史をとくに鉱山業の興廃を通じて調査し、そのうち小坂町の事例を中心として2月に発行した中田英樹との共編著『復興に抗する』(有志舎)のなかの第5章「被災地ならざる被災地」として収録し、総合研究大学院大学の公開講演会での発表もおこなった。さらに、大館市の事例を中心とした論考は現在印刷中であり、平成30年度内に発行される予定である。 ただし、筆者自身の体調不良や、調査対象者の体調不良などが重なり、インタビュー調査はうまくいっていない。来年度以降の研究計画の変更が必要な状態で、文献調査を中心とした研究とする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の入院など体調不良およびインタビュー対象者の体調不良などにより、実施がむずかしいため
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では口述史を主、文献研究を従とする予定であったが、これを変更し、文献研究を主とし口述史を従として来年度以降の研究を進めることとした。インタビュー調査が予想よりも難しいことに加え、入手した裁判記録が大部で、多方面から分析可能であることもあり、こちらを研究の中心としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査が実施できなかったため、謝金や人件費が発生しなかったが、東京都内の調査のための旅費や、昨年度の調査を活用した自著の購入と発送のため物品費が発生した。次年度については、文献資料の分析を中心の作業とし、その際に参考とする公刊された資料や先行研究などの入手、他の文献資料調査のための旅費などを支出の中心にしたい。インタビュー調査は謝金により文字化することが可能であるが、文献資料は解読が難しいため研究者本人が行うほかなく、人件費はインタビュー調査が実施できた場合など、限られたものになると予想される。
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