研究課題/領域番号 |
16K03041
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
人見 佐知子 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (00457029)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 娼妓 / 遊女 / 外国人妾 / 福原遊廓 |
研究実績の概要 |
2017年度は、以下の成果を得た。 1.娼妓・芸妓の性と生および近代のセクシュアリティに関する先行研究を整理し、娼妓・芸妓の性と生を課題とするさい問題視角をブラッシュアップする作業をおこなった。その一環として、関連著作を書評し、論文(書評『戦争と女性への暴力』リサーチ・アクション・センター編、西野瑠美子・小野沢あかね責任編集『日本人「慰安婦」――愛国心と人身売買と』」『ジェンダー史学』13号、123-127頁、2017年)(「『新市史』を通して考える――自治体史をめぐる歴史実践」尼崎市立地域研究史料館紀要『地域史研究』117号、174-179頁、2017年)を発表した。 2.神戸開港文書(神戸大学附属図書館デジタルライブラリー)の史料調査を実施した。そのなかから、兵庫(神戸)開港後、神戸・福原遊廓の元遊女で、外国人妾となった元遊女「つる」をめぐって生じた争論に関する一件史料を取り上げ、近世・近代移行期の性売買や身売り、人主・遊廓・清国人といった遊女をめぐる人びとの相互関係などを分析した。その結果、従来ほとんどあきらかでなかった外国人妾の実態を解明する手掛かりを得るとともに、遊女をとりまく社会関係とそれが遊女にとってどのような意味をもっていたのかという視角で、明治5年(1872)の芸娼妓解放令の歴史的位置づけについてもあらためて検討するべきことが明らかとなった。 3.2の成果を、口頭発表した。現在、論文化にむけて分析を深めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、研究計画に組み込んでいた民事判決原本(国際日本文化研究センター所蔵)の分析に着手できなかった。また、書評を2本公表したものの、研究成果の発表は口頭報告のみにとどまり、論文化にはいたらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、娼妓・芸妓の性と生をめぐる史料を収集するとともに、収集史料を翻刻し、分析をするめる。史料の翻刻(データ化)作業については、古文書読解能力をもつ協力者の支援を得ておこなう予定である。 研究成果は、適宜学会・研究会等で報告するとともに、論文化する。また、学会や研究会に積極的に参加し、視点や方法の修正をおこないつつ課題にとりくむ。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定されていた海外出張旅費を概算で確保していたため差額が生じた。次年度の旅費・消耗品費等に充当する予定である。
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