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2018 年度 実施状況報告書

「芸娼妓解放令」と娼妓・芸妓の性と生についての社会史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03041
研究機関近畿大学

研究代表者

人見 佐知子  近畿大学, 文芸学部, 准教授 (00457029)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード娼妓 / 芸妓 / 遊廓 / 芸娼妓解放令 / 芸娼妓紹介業
研究実績の概要

2018年度は、以下の調査を実施した。
1.娼妓・芸妓の性と生および近代のセクシュアリティに関する先行研究を整理し、娼妓・芸妓の性と生を課題とするさい問題視角をブラッシュアップする作業をおこなった。その一環として、関連著作を書評し、論文(書評 林葉子著『性を管理する帝国――公娼制度下の「衛生」問題と廃娼運動』)を発表した。ほか、1本の書評の刊行は、2019年度予定。
2.近畿大学図書館所蔵「金沢遊郭芸娼妓関係文書」の調査をおこなった。同文書は、金沢の芸娼妓紹介業者の旧蔵史料で、「芸娼妓紹介簿」2冊のほか、娼妓・芸妓自身の手になる多数の書簡をふくんでいる。「芸娼妓紹介簿」には、娼妓・芸妓の前借金の額、年期、出身地、年齢などが記されており、娼妓・芸妓の実態を稼業契約の側面から明らかにすることが可能である。書簡には、娼妓・芸妓自身の言葉で稼業にたいする思い・考えや願いが綴られており、娼妓・芸妓の境遇・実態を彼女たち自身の視点で明らかにする可能性をもつ、他に類をみない貴重な史料群である。2018年度は、史料の整理と撮影をおこない、史料の概要の把握につとめた。
3.滋賀県八日市新地関係史資料の収集をおこなった。八日市新地関係史料の存在は、三露俊男著「滋賀県八日市市 八日市新地遊廓」(『近世庶民生活誌』所収)で知られていたが、現状は不明であった。調査の結果、三露著所収史料が滋賀県立琵琶湖博物館にあることが判明し、同博物館にて関係史料全点の撮影をおこなった。また、三露著のもととなった『滋賀県医師協同組合ニュース』についても滋賀県医師協同組合にて複写・収集した。あわせて、現地調査も実施した。
4.東北歴史博物館所蔵「阿部楼文書」の(一部)撮影、翻刻作業をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2018年度は、刊行された成果物以外に書評1本、論文1本を執筆したが、その刊行は2019年度となった。
本年度は、近畿大学図書館所蔵「金沢遊郭芸娼妓関係文書」の調査を中心におこなった。同図書館には未整理のまま収蔵されていたことから、1点づつの目録作成から着手することとした。当初予想していたよりも点数が多く、目録作成・撮影とも2018年度中には終えることができなかった。そのため、具体的な成果の発表にはいたらなかった。

今後の研究の推進方策

2018年度にひきつづき、近畿大学図書館所蔵「金沢遊郭芸娼妓関係文書」の調査(目録作成・撮影)を実施する。史料の翻刻(データ化)作業については、古文書読解能力をもつ協力者の支援を得ておこなう予定である。
研究成果は、適宜学会・研究会等で報告するとともに、論文化する。また、学会や研究会に積極的に参加し、視点や方法の修正をおこないつつ課題にとりく
む。

次年度使用額が生じた理由

校務のため予定していた出張等が実施できなかった。計画していた出張(史料調査・フィールド調査)を実施するとともに、作業効率化のため、調査補助アルバイトの雇用などのためにあてることとしたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 書評 林葉子著『性を管理する帝国――公娼制度下の「衛生」問題と廃娼運動』2018

    • 著者名/発表者名
      人見佐知子
    • 雑誌名

      日本史研究

      巻: 617 ページ: 79-89

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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