本研究は、18世紀中期以降の琵琶湖舟運の展開について検討するものである。その最大の成果は、舟運の衰退時期とその理由の解明である。通説と異なり、舟運衰退の開始は18世紀半ばである。また、衰退理由の一つは、全国的な不況を受け、北国筋の荷主が諸失費を避けるために上荷や下荷を大坂に直漕し、その結果、近国の米穀が地売りに出されたことで、琵琶湖舟運の荷物が減少したことである。二つ目は、全国的な諸物価の高騰により、船用材木や鉄類が入手困難となり、船の造替が不可能となったことで、船数の減少や船規模の縮小を招いたことである。琵琶湖舟運の衰退が、当該期の全国的な景気動向に左右されていることが明らかとなった。
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