研究課題/領域番号 |
16K03057
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
落合 功 青山学院大学, 経済学部, 教授 (10309619)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 砂糖 / 国益 / 国産化 / 島嶼 / 塩 / 黒糖工場 |
研究実績の概要 |
2017年度は調査を中心に行った。 香川県立文書館、岡山県立文書館などで砂糖関係の史料を収集した。明治時代の香川県において砂糖は讃岐三白の一つとして数えられており、そうした産地の動向を明らかにすることができたことは、有益であった。また、和三盆糖の生産過程を知るうえで製糖場が保存されている四国村への調査も行うことができた。 また、奄美諸島では、奄美大島、徳之島、喜界島をまわり、黒糖工場、製糖工場、サトウキビ農家の三者からの聞き取りを行った。 また、研究成果としては、同年9月に開催された、山東師範大学(済南)で開催された、「第5回日本学ハイエンドフォーラムー東アジアの視点から」で「砂糖国産化と国益思想」というタイトルで報告を行い、中国研究者との意見交換を行った。同成果は、青山学院大学経済研究所編『経済研究』に「砂糖国産化和国家利益思想」として、中文で活字化している。 また、研究ノートとして「近現代における製塩業と製糖業」というタイトルで『日本塩業の研究』第35集に発表した。同成果は、食品産業の基本である塩と砂糖の今日的意味を紹介したものである。 また、広く社会へ還元する意味では、11月に広島市中央図書館で開催された歴史講座で「広島藩の殖産興業政策」を講義し、殖産興業の中で、広く砂糖だけでなく塩や米などと共に理解を深めることができた。また、同じ産業史的な視点から粟倉大輔氏の新著『日本茶の近代史』の書評を公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度は『信用組合のルーツをたどる』を刊行した。この校正などの作業が、意外と手間取ったためである。ただ、信用組合(協同組合金融)を考えることは、黒糖工場やサトウキビ農家と金融との関係を考えるうえで重要である。この作業での研究を生かしていければと考える。 なお、調査などは順調に行われており、今年度は聞き取りなどの成果を紀要などに掲載するようにした。今年度は砂糖業に力点を傾注できると思うので、研究活動を加速していくことにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在、3月に行われていた聞き取り調査のテープ起こしを行っている最中である。この校正などを行い整理ができた段階で活字化を考えていくことにする。当初、報告書などの作成を検討していたが、報告書よりも紀要などの方が汎用性が高いものと考えられ、紀要への掲載を考えている。 また、今年度も西安交通大学での研究交流が約束されており、ここで報告することで新たな知見を得ることができればと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度において、引き続き聞き取り調査を実施し、テープ起こし費用がかかる予定である。
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