研究課題/領域番号 |
16K03057
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
落合 功 青山学院大学, 経済学部, 教授 (10309619)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 黒砂糖 / 三盆砂糖(和三盆) / 南西諸島 / 地域経済 / 大坂市場 / 殖産興業政策 |
研究実績の概要 |
本年度も、徳島県立文書館、沖縄県立図書館、広島県立文書館、石川県立歴史博物館を始めとして各地の史料調査を実施した。砂糖の史料は、単に生産地だけでなく、消費地にも多く所在しており、その確認も行っている。それが想像以上に古文書が残っており、これらの収集に手間取っているところもある。 他方、これまで実施してきたヒアリング調査などの成果は活字化されることとなり、着実に成果が公表されてきている。2019年度は「徳之島製糖業の展開と南西糖業株式会社」「南西諸島における黒糖製造」を公表することができた(『青山経済論集』71-2,71-4)これにより、現在の南西諸島の製糖業の重要性と問題点が浮き彫りにできると考えている。 近世における糖業史を考えるとき、南西諸島の黒糖生産とともに重要なのが、讃岐などで生産されていた和三盆糖である。この点についても、実地調査、ヒアリングを実施しており、その成果は「徳島和三盆糖の現在」というタイトルで、近日中に公表される予定である(『青山経済論集』)。 こうした現状の課題などを把握するとともに、近世から近代にかけての課題も明確になってきている。その中で、科研の申請の際に課題として指摘した、地域における製糖業の意味、製糖技術史研究の問題、流通、消費、市場の視点からも多くの点が明らかになってきている。これまでの研究成果も収集してきているので、世界史的な視野からの砂糖業史研究を展望していきたい。 また、個別の論点とは別に、申請当初に掲げた『砂糖(ものと人間の文化史)』の執筆準備もおおよそできた。史料調査などで新たな知見もあるが、同書執筆にも取り掛かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国的に、砂糖関係の史料は豊富にあり、それらの収集に手間取っている。
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今後の研究の推進方策 |
今回の科学研究費の申請では、近世砂糖業の総合化を目指すことを意図している。史料収集という点では限りないものを感じるが、この段階で、ある程度の結論を出したいと考えている。今年度は、追加での調査は実施するが、これまでの資料を含めた成果を提示することを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
徳島県立文書館に所蔵されている史料(坂東家文書)に、研究課題に関する史料が多く所蔵されていることが判明した。その関係で、随時史料調査を実施しているところである。今年度は、それを含めた分析を進める予定である。 今年度は、鹿児島県立図書館、熊本県、香川県などいくつかの追加調査を予定している。また、今年度は、南西諸島の砂糖業の状況、北海道の甜菜糖の状況なども視察を行う予定である。
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