近世から現在に至るまで日本国内で砂糖を生産する意味を考えた。砂糖は、私たちの生活にとって身近な調味料の一つだが、江戸時代初頭は薬種の一つとして扱われ、ほとんど輸入していた。それが江戸時代後期になると和菓子に含まれるようになり、相当量が国内で生産されるようになる。それは黒砂糖のみならず、白砂糖もそうであった。この砂糖国産化におけるキーワードが国益である。この国益思想は、単に砂糖生産を促進するだけでなく商品作物の生産を促進し、これまでの五穀中心の生産からの変化をもたらすことになる。 また、奄美大島(黒砂糖)や徳島(三盆糖)における砂糖生産者から聞き取りを行い、砂糖生産の現状をうかがった。
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