• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

瀬戸内の島嶼・沿岸の朝鮮人社会に関する総合的研究 - 19世紀末~1950年代

研究課題

研究課題/領域番号 16K03059
研究機関法政大学

研究代表者

愼 蒼宇  法政大学, 社会学部, 准教授 (80468222)

研究分担者 檜皮 瑞樹  東京経済大学, 史料室, 嘱託職員 (00454124)
宮本 正明  立教大学, 立教学院史資料センター, 学術調査員 (20370207)
鄭 栄桓  明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (90589178)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード瀬戸内 / 朝鮮人 / 境界 / 植民地 / 戦後
研究実績の概要

本年度は、研究計画にもあるとおり、瀬戸内のなかでも、在日朝鮮人人口の多かった広島、山口を中心に、岡山・香川にも足を延ばして公文書・郷土新聞などの資料収集、検討を主に行った。そのなかで、広島においては、広島県立文書館、広島市立公文書館での資料調査を行い、前者においては、戦前において県町村文書のなかに、協和会関連、戦時協力関連、居住状況関連の史料があり、戦後においては外事課の外国人登録関連、地方課での民籍・戸籍関係などの史料があった。広島市立文書館においては、市町村文書が充実しており、寄留や居住、就業、戦後の戸籍、団体などに関する史料が多く存在することがわかった。これは大きな成果であり、その量も多く存在するので、次年度も引き続き資料収集、検討を行うことにする。
山口は山口県立文書館と県立図書館で資料調査を行い、戦前においては警察署管内状況報告(大正)、戦後においては警察・進駐軍関連、知事の引継文書などがあり、これらのなかに山口の在日朝鮮人に関する動向を示す資料をいくつか発見して収集することができた。また、周防大島文化交流センターにある宮本常一記念館を訪問し、宮本常一の調査ノートを収集することができた。岡山は岡山県立記録資料館で、戦前・戦後の牛窓市などを中心とした岡山市周辺地域の市町村文書を調査し、数は少なかったが、寄留関係の資料を発見することができた。香川では香川県文書館で、県市町村の文書を調査したが、大きな成果を得ることはできなかった。しかし、市レベルでの資料調査が必要であり、引き続き次年度も資料収集、検討を行う必要がある。
ほかにも瀬戸内との関連も深い、長崎の島々、沖縄での在日朝鮮人関連の資料調査も個別に行った。本年度はこうした点で大きな成果を挙げ、次年度以降の分析、検討、研究成果の作成のための大きな礎を築けたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

すでに述べたように、本年度は広島・山口を中心に、公文書・郷土新聞などを資料調査を行い、多くの成果を得ることを第一の目標としていたが、その点については広島市立公文書館での膨大な資料の発見など、多くの成果を得ることができた。山口県、岡山県、香川県に関しては、だいたいの資料状況を掴み、主要な資料は収集できたが、まだ市町村レベルの文書を探す余地はあり、その点でいくつか課題が見えてきた面もある。なお、在日朝鮮人へのインタビュー、関連研究者との交流については、現在いくつかの候補を探っているところであり、次年度以降具体的に進展させる予定である。以上より、研究はおおむね順調に推移しているといえる。

今後の研究の推進方策

次年度も研究通り、引き続き資料調査を行うが、次年度は広島市立文書館に加え、香川・愛媛・兵庫・下関にも足を延ばす予定である。とりわけ、愛媛・兵庫・下関の県立市立文書館・図書館での公文書、郷土新聞などの資料調査は外せない。
そして、それらのみならず、国立国会図書館や防衛庁図書館、国立公文書館など、首都圏での資料調査も個別に進め、年度内には研究状況の中間報告会を開催する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度は本年度以上に研究調査が増える可能性があり、かつ文献・資料の購入にも支出が増える可能性がある。よって、少額ではあるが、次年度に繰り越すことにした。

次年度使用額の使用計画

旅費と物品(文献か資料)に使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 書評 橋本伸也著『記憶の政治 ─ヨーロッパの歴史認識紛争』(岩波書店、2016年)2017

    • 著者名/発表者名
      鄭栄桓
    • 雑誌名

      『東欧史研究』

      巻: 39 ページ: 87-92

  • [雑誌論文] 在日朝鮮人の「国籍」と朝鮮戦争(1947-1952年):「朝鮮籍」はいかにして生まれたか2017

    • 著者名/発表者名
      鄭栄桓
    • 雑誌名

      『PRIME』明治学院大学国際平和研究所

      巻: 40 ページ: 36-62

  • [雑誌論文] 解放直後の在日朝鮮人運動と「戦争責任」論(1945-1949):戦犯裁判と「親日派」処罰をめぐって2016

    • 著者名/発表者名
      鄭栄桓
    • 雑誌名

      『日本植民地研究』

      巻: 28 ページ: 20-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 訴願と救済-19世紀のアイヌ・和人関係から2016

    • 著者名/発表者名
      檜皮瑞樹
    • 雑誌名

      『史潮』

      巻: 79 ページ: 4-27

  • [学会発表] The Easter Rising and korean Nationalism:Thought,Sentiment and Movements(イースター蜂起と朝鮮三・一独立運動‐思想・心情・運動の視点から)2016

    • 著者名/発表者名
      愼蒼宇
    • 学会等名
      日本アイルランド協会2016年度年次大会
    • 発表場所
      法政大学市ヶ谷キャンパス、田町校舎5階マルチメディアホール(東京都千代田区)
    • 年月日
      2016-12-10 – 2016-12-11
    • 国際学会
  • [図書] 『歴史を学ぶ人々のために-現在をどう生きるか』(檜皮瑞樹「境界・周縁からの視座」所収)2017

    • 著者名/発表者名
      東京歴史科学研究会編
    • 総ページ数
      344(檜皮瑞樹論文183-201p)
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 『隣国の肖像‐日朝相互認識の歴史』(愼蒼宇「伝統的知識人の日本観‐崔益鉉と開化派人士の同時代的考察」所収)2016

    • 著者名/発表者名
      杉並歴史を語り合う会・歴史科学協議会編
    • 総ページ数
      310(愼蒼宇論文135-153p)
    • 出版者
      大月書店
  • [図書] 『隣国の肖像‐日朝相互認識の歴史』(宮本正明「「親日派」の日本観‐「親日/対日協力」の論理・動機を手がかりとして」所収)2016

    • 著者名/発表者名
      杉並歴史を語り合う会・歴史科学協議会編
    • 総ページ数
      310(宮本正明論文187-206p)
    • 出版者
      大月書店
  • [図書] 『日本帝国崩壊期「引揚げ」の比較研究』(宮本正明「在日朝鮮人の「帰国」-1945~46年を中心として」所収)2016

    • 著者名/発表者名
      今泉裕美子・柳沢遊・木村健二編著
    • 総ページ数
      392(宮本正明論文327-349p)
    • 出版者
      日本経済評論社

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi