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2016 年度 実施状況報告書

清代モンゴルにおける駅站システムの運用実態とその政治・社会史的意義

研究課題

研究課題/領域番号 16K03071
研究機関山形大学

研究代表者

中村 篤志  山形大学, 人文学部, 准教授 (60372330)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードモンゴル / 清朝 / 駅站 / 移動
研究実績の概要

本研究は、清のモンゴル統治を支えた基礎インフラとしての駅站網に注目する。モンゴル全土に張り巡らされた駅站は、清による政治的支配のツールであると同時に、モンゴル地域間や中国本土との間のヒトやモノの移動を加速させ、社会的・経済的にも重要な役割を果たしたと考えられるが、その運用の実態や歴史的意義については殆ど研究がない。
そこで本研究では、満洲語・モンゴル語一次史料から、駅站の運用実態を解明するとともに、実際に中国・モンゴル各地を往来した王公や官僚の日記などから個人レベルの体験や認識の変化を分析し、これらの移動・往来が清の地域統合といかなる関係にあったのか、その政治的・社会的意義について考察する。
本年度は、研究初年度であるため、基本史料の調査・収集を通じて、史料状況の全体像把握につとめると同時に、既収集の日記史料等の分析を進めた。特に、モンゴル各地に出使した満漢の大臣や官僚が残した記録については、すでに収集した清朝後期のものに加え、清末から1930年代までの間に残された記録が、当初の想定より多く存在することが判った。これら史料の網羅的な収集に着手すると共に、相互に比較分析し、整理・分類する作業に着手した。また同時期に中国国内を移動した日本人の記録の中に参考となる記述が多く存在していることが判明した。これらは、モンゴル王公や満漢の大臣・官僚らが等閑視し記録に残さなかった往来の実態や社会状況を、外国人の目線で記録しており、重要な比較史料となる。次年度以降は、行政文書の収集・分析を本格化させ、これら史料群との比較分析をさらに進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の特徴のひとつは、モンゴル語や漢語、満洲語などの多言語で書かれた、行政文書や日記史料など、多種多様の史料を収集・分析することにある。マルチ・アーカイヴァルな研究手法を取るため、広汎な史料調査が不可欠である。初年度では、既収集史料の整理・分析を進めるとともに、国内・海外での基本史料の収集および関連史料の予備的調査を行い、史料状況の全体像把握につとめる計画であった。
本年度、既収集史料の分析はおおむね予定通り進んだ。また国内外の調査においては、先述のように、清末から1930年代までの間に書かれた日記等の記録や、同時期に中国を往来した日本人の日記・随筆など、当初想定していた以上の史料を発見し、調査・収集することができた。他方、モンゴル国での調査については、国際共同研究加速基金による長期の海外調査も視野に、次年度に本格的調査を進めることとした。

今後の研究の推進方策

次年度は中間年度に当たるため、本年度に収集した史料の整理・公開を進め、特に、国際シンポジウムで成果を発表し、中国語・モンゴル語での論文執筆に取り組むことで、国内外の学会での議論の共有化に取り組む。
史料調査は、継続して国内および中国・モンゴル国の各研究機関を対象におこなうが、特に、モンゴル国立中央公文書館の調査を本格化させる予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度購入予定だった史料集等が年度内に出版されなかった。これら中国所在の一次史料、関連する漢文史料集は海外調査の効率化のためにも重要であり、次年度の刊行に備え、一部を繰り越すこととした。

次年度使用額の使用計画

基本的には上述の史料集等の購入に充てるが、出版が再度延期された場合は、国内外の調査旅費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] モンゴルにおける印信ホトクトのシャビ=ナルの牧地について2017

    • 著者名/発表者名
      アルタンザヤー、中村篤志訳
    • 雑誌名

      山形大学歴史・地理・人類学論集

      巻: 18 ページ: 13-24

  • [学会発表] 藤田嗣治「北平の力士」と清朝宮廷相撲2016

    • 著者名/発表者名
      中村篤志
    • 学会等名
      山形大学歴史・地理・人類学研究会
    • 発表場所
      山形大学
    • 年月日
      2016-06-18

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公開日: 2018-01-16  

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