研究課題/領域番号 |
16K03072
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 真 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20316681)
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研究分担者 |
武井 基晃 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00566359)
松村 智雄 法政大学, 人間環境学部, 講師 (30726675)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 金門島 / 馬祖列島 / 冷戦 / 中国 / 台湾 / 近現代史 / 日中戦争 |
研究実績の概要 |
研究代表者の山本は、研究協力者の胡艶紅とともに2017年8月に馬祖島列島で当地の歴史及び漁業民俗についての資料収集と聴き取り調査を行った。さらに山本は台北で日中戦争時期の台湾総督府による金門を含む福建政策に関する資料や、冷戦時期の金門・馬祖に関する資料を収集した。訪問した図書館・文献館は、国民党党史館や国史館、台湾大学図書館、国家図書館などである。胡艶紅は、福州へ渡り、福建省から馬祖列島への移民のルーツを探求した。研究分担者の武井は、金門島において冷戦での砲戦の遺物である大砲の鋼鉄から包丁が作成された経緯や技術を調査した。 さらに山本は、2017年11月に厦門大学を訪問、図書館で日中戦争時期日本軍による厦門や金門島占領に関する資料を収集した。 昨年度と本年度の資料収集の成果を中間的に発表するため、2017年12月9日に「国際workshop冷戦構造下、台湾海峡金門・馬祖島の歴史・民俗的研究」と題して筑波大学人文社会学系棟においてワークショップ実施した。その際には、金門大学の戚常卉副教授を報告者として招聘し、「戒厳時期金門高粱酒的社会生命」との題目で報告をしていただくとともに、研究代表者山本と研究協力者胡艶紅は共同で「近現代、馬 祖列島の歴史・民俗的研究」と題する報告を行った。研究分担者の武井は、また分担者の松村はInternational relocation of Chinese under the Cold War: A case of returned overseas Chinese from Aceh, Indonesia in Fujian Province, PRC.と題する報告を行った。ワークショップではそれぞれの報告に対して質疑応答を行うとともに、冷戦構造下の台湾海峡の諸問題について議論を展開させた。さらに金門大学の戚副教授をも交え、今後の研究方向についても話し合いを行った。 なお、武井はワークショップでの発表内容を活字化し、2018年3月『歴史人類』号において公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査が台湾政府の統治地区にあるため、フィールド調査や文献収集において何の妨げがないだけでなく、現地の地方政府や大学が積極的に協力してくれたことが研究の進展に好影響を与えたといえる。 また、現地の協力者である金門大学ビン南文化研究所の戚副教授が当方の要請に応えて筑波大学でのワークショップで報告を行ってくれた。科研メンバーもそれぞれ研究内容を報告することでワークショップを成功させることができた。 その他、研究代表、分担者、協力者の相互連絡を潤滑に行えたことも研究の進展に資する要素となっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、山本は金門島或いは厦門島での現地調査を行い、日中戦争時期から冷戦時期の中国、金門双方の社会状況を調査する。武井は引き続き金門の民俗を調査する。松村は金門島からの華僑が多いブルネイで現地調査を実施する。 また山本と胡艶紅(研究協力者)は、「近現代、馬 祖列島の歴史・民俗的研究」について論文を執筆し、投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の海外調査資金のため保留した。
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