研究課題
基盤研究(C)
『左伝』、『国語』、諸子百家、『史記』など戦国秦漢諸文献の春秋史に関わる記述につき、その内容に加えて使用言語を分析することで、それらの地域性・時代性を確認し、前4世紀から前2世紀における春秋史認識の推移を具体的に解明する。使用言語の分析には、『郭店楚簡』『上海博物館蔵戦国楚竹書』『清華大学蔵戦国楚帛書』などの出土文献を活用する。
中国古代・中近世史
春秋時代の具体的なイメージは、前4世紀前半の『左伝』に基づくが、前3世紀に成書した『国語』やその他諸子文獻、前2世紀末の『史記』の記述と比較すると、春秋史認識の変化が認められる。近年、前4世紀後半に遡る出土文獻が豊富に獲得されるようになり、春秋史認識の推移をより具体的にたどることが可能となった。本研究によって、一般的に歴史記述が史実である以上に認識であること、現代社会を根源的に支配する歴史認識が実は相対化可能であることが広く認知されよう。