1)『龍泉司法档案選編』『順天府档案』輪読会を開き、これらの史料を一緒に読みつつ問題点を出し合った。 2)2019年8月27日、中国杭州で「龍泉司法档案研読会」が開かれ、「龍泉司法档案のいくつかの問題」と題して基調報告を行い、二件(「民国二年 李興唐等控卓識等縦警仇学案」と「民国三年 曾林裕控程作祺等詐欺取財案」)の訴訟裁判案件に関わる档案を出席者全員で読んだ。この基調報告と二案件をもとにして、活発な討論が行われた。8月28日から30日にかけて、研読会参加者は一緒に二案件が起きた現在の龍泉市八都へ行き、実態調査を主なった。また龍泉市档案館を訪れ、実際の档案を閲覧した。さらに龍泉と経済的に文化的に密接な関係があった温州を訪れ、実態調査した。日本では『龍泉司法档案』の重要性が認識されておらず、また二案件が民国史を研究するためには重要史料であるため、「『龍泉司法档案』と龍泉司法档案研読会-とくに民国初年、教育界と商業界による警察糾弾案件をめぐって-」と題する報告書を『東方学』第139輯(2020)に公表した。 3)12月11日から13日にかけて杭州大学地方歴史文書編纂与研究中心を訪れ、2)で述べた二案件に関わる档案を調査し収集した。 4)民国時代の訟師、律師、代書などについて、『申報』『東方雑誌』『民国経世文編』などを読んで関連史料を収集した。 5)2020年中に公刊を予定している『訟師-中国の訴訟社会-』の執筆を進めた。
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