補助事業期間中、戦後内モンゴル問題のあり方を明らかにするため、オーストラリア国立大学を訪れ、共同研究を実施した。また、中国内モンゴルにおいて、インタビュー調査を行った。研究成果として、一冊の本を編著するとともに、モンゴルで国際会議を組織した。本助成金は、主に上記の研究を遂行するための出版費、文献の購入費、成果出版費などにあてられた。具体的に言えば以下のとおりである。1. 計画通りに『20世紀前半とモンゴル人』という本を編著した。この本は、日本、オーストラリア、中国、モンゴル国からの多くの学者の論文によって構成されており、内容としては、当時の国際情勢のなかのうちモンゴル問題に対し、様々な角度からアプローチを行っている。著者の「20世紀前半のモンゴル民族解放運動と徳王」、「徳王ドゴルスレンについて」「内モンゴル自治運動にかかわるいくつか重要な問題」という三つの論文が入っている。2. モンゴル国で「20世紀前半のモンゴルの歴史と文化」という国際会議を組織し、多くの学者が参加している。著者は「徳王のドゴルスレンについて」というテーマで発表を実施した。最終年度には、モンゴル国立大学においても国際会議を開催し、「日本のマスメディアから見たモンゴルの独立運動」をテーマに発表を行った。3. それ以外、オーストラリア国立大学のモンゴル研究所において、「日本外交における蒙古問題について」というテーマで発表を実施した。
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