研究課題/領域番号 |
16K03096
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
溝辺 泰雄 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (80401446)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 核兵器廃絶運動 / アフリカ現代史 / ガーナ / クワメ・ンクルマ / ジュリアン・メイフィールド / アフリカ系アメリカ人 / 平和運動 / 日本アフリカ関係史 |
研究実績の概要 |
本研究は、核兵器廃絶を求めて1962年6月に西アフリカのガーナで開催された国際会議「爆弾無き世界のためのアクラ会議」の背景及び影響を分析することを通して、20世紀中葉の日本アフリカ関係と核兵器廃絶運動の国際的展開の態様を検討する3年間のプロジェクトである。研究初年度にあたる平成28年度の研究活動は、(a)英語による予備的な研究報告と(b)海外における関連史資料の収集活動の2点に集約される。まず(a)の英語による予備的な研究報告については、平成28年6月に開催された日本アフリカ学会大53回学術大会において、本研究の主たる考察対象である上述の「アクラ会議」の開催に至る背景と日本含む国際社会の反応を、ガーナ、日本、イギリス、アメリカで収集した史資料に基づき整理し報告した。本報告の原稿は、その後の調査等で得た情報などを追加した上で、研究2年目となる平成29年度中に英文論考として公表する予定である。(b)の海外における関連史資料の収集活動については、平成28年8月にケニア及びガーナの各公文書館において文献調査を実施した。その結果、ケニアでは現地スタッフの協力も得て、「アクラ会議」の2年前にガーナで開催された「平和と安全保障のための積極行動会議」に関する文書群(MAC_CON_196_3)をはじめとする、「アクラ会議」へ至るガーナ主導の平和を求めるアフリカ諸国間の連帯運動の形成過程を検討するのに重要な資料を得ることができた。また、ガーナにおいても、「アクラ会議」を主催した同国の政治指導者クワメ・ンクルマの私的書簡群(GH_PRAAD_RG_17_1_5A-C, E: KWAME NKRUMAH PERSONAL LETTERS)などを参照することができ、会議の準備段階における国内外の関係者とのやりとりを追跡することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記【研究実績の概要】で記した通り、研究初年度あたる平成28年度においては、6月に国内において英語での研究報告をおこない、さらに8月にはケニアとガーナで関連史資料の収集活動を予定通り実施することができた。「アクラ会議」に関する情報収集は、会議に関する概要やガーナ、日本、イギリスの各メディアの報道などに関しては、ほぼ収集を終えることができた点で、当初計画を上回るペースで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終的な目的は、1962年に西アフリカのガーナで開催された「爆弾なき世界のためのアクラ会議」が、20世紀中葉の日本を含む国際的平和運動にいかなる影響を与えたのかを検討し、(暫定的なものになるかもしれないが)その成果を日本と英語の論考にまとめ、公表することにある。そのためにも、研究2年度目にあたる平成29年においては、国内外での史資料収集活動に注力したいと考えている。具体的には、国内では東京、広島、長崎の資料館、国外ではガーナ、ケニア、イギリス、アメリカの文書館、資料館において、これまでに収集できなかった、会議参加者の手稿、参加記録などを収集する予定である。さらに、すでに発表申請済みであるが、10月にガーナで開催される国際会議(2nd Biennial Conference of African Studies Associatin of Africa)で、研究報告をおこなうとともに、海外の研究者との意見・情報交換をおこないたいと考えている。
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