研究課題/領域番号 |
16K03098
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
小都 晶子 摂南大学, 外国語学部, 講師 (00533671)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 満洲国 / 農地開発 / 国民政府 / 中国共産党 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、満洲国期に行われた農地開発の具体的な実施状況を明らかにし、さらに戦後中国国民政府、中国共産党による接収状況を明らかにすることによって、これを中国東北地域の農業開発史のなかに位置づけることである。 満洲国期の農地開発はおもに日本人移民の入植地を確保するために実施された。本研究では、これまで検討を進めてきた満洲国期の日本人移民用地に関して、その制度の変遷と実施状況を整理した。すなわち、用地取得の主体は東亜勧業株式会社、満洲拓植株式会社・満洲拓植公社、満洲国へと移行し、満洲国は各地で「未利用地開発」を実施し、これらの用地が団地計画にしたがって移民に分配されたが、これを満洲国の法令と統計によって実証的にとらえた。 盤山農場を事例とする国民政府の農地接収については、前年度に台湾や日本国内で収集した資料の分析を継続して進めた。戦後、国民政府水利委員会、水利部による接収は档案史料によって詳細に把握することができつつあるが、今後、可能な限り資料を補い、政府中央と現地との関係について分析を加えたい。 また戦後「満洲」研究会が開催した梅村卓・大野太幹・泉谷陽子編著『満洲の戦後』(勉誠出版、2018年)の合評会においてコメントを行った。戦後満洲をめぐる論点を整理し、各地の資料状況について情報を共有することができた。同書には戦後満洲における国民政府側の研究が少なく、その意味でも本研究の意義が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
台風の影響によって予定していた夏の中国東北調査が実施できなかったため、とくに中国共産党の接収についての資料収集が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、国民政府の接収についての論文を完成させるとともに、中国共産党の接収についても資料収集と分析を進める。中国共産党の接収については、中国東北地域のほか、香港や引き続き日本国内でも資料調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していた海外調査が実施できなかったため。引き続き資料の購入および中国、香港などのほか、国内での資料調査に使用する。
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