研究課題/領域番号 |
16K03099
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
中田 裕子 龍谷大学, 農学部, 講師 (70598987)
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研究分担者 |
村岡 倫 龍谷大学, 文学部, 教授 (30288633)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハルザンシレグ遺跡 / 交易路 / 高車 / 柔然 / 農耕地 |
研究実績の概要 |
平成29年度における研究実績は以下の通りである。モンゴル側の発掘を主導するエルデネボルト(研究協力者・モンゴル科学技術大学・准教授)は、平成29年9月11日より30日間にわたりモンゴル国ゴビアルタイ県シャルガ郡で発掘を行った。日本側メンバーである中田裕子(研究代表者・龍谷大学・講師)、松田孝一(連携研究者・大阪国際大学・名誉教授)、村岡倫(研究分担者・龍谷大学文学部・教授)、松川節(連携研究者・大谷大学・教授)は、モンゴル国における遊牧民に関する遺跡の景観調査を行った後、9月14日~17日まで発掘調査に参加した。平成28年度、この地において仏像の足部と手部が発見されたものの、保存手段がなく埋め戻したが、本年度は台座から切り出しウランバートルへ移送した。さらに、仏像が発見された周辺部を発掘したところ、家屋の跡とみられる遺構が発見され、この地に宗教施設が存在したことを裏付けた。発掘で得られた骨片等は、「放射性炭素年代(AMS測定)および炭素・窒素安定同位体分析」によって分析した。その結果、やはり11世紀から14世紀後半の年代を指し示すデータが得られた。 また、平成30年度9月には仏像の足部・手部をウランバートルの博物館で展示した後、シャルガ郡近郊の博物館で再度展示する予定である。 この発見では、モンゴル国の仏教伝播の歴史の一端を解明しただけではなく、重要な遺跡を発見・保存することが出来た。遺物発見するだけではなく、修復・保存し後世に伝えていくという研究者としての責務を果たしたと言えよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の発掘調査では、前年度に発見された仏像の足部・手部を切り出し、ウランバートルへ輸送し、修復・保存作業を行うことが出来た。さらに周辺部の発掘からは家屋の跡とみられる遺構が発見され、この地に宗教施設が存在した可能性が高まった。よって、このハルザンシレグ遺跡が宗教施設をともなう集落であったことが、あらためて確認された。また発掘された遺物はモンゴル以前の時代のものであり、この地には集落が存在し交易路の重要拠点であったことが、改めて確認された。上記のことから、当初の計画はおおむね順調に進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はこの研究の最終年度となるため、調査を補完する意味で再度モンゴル国・シャルガ郡・ハルザン遺跡の再調査・発掘を行う。また、過去2年度の研究成果に基づいて研究を継続し、日本において国際的なシンポジウムを行う。平成31年3月に研究成果報告書を作成することをこの年度の中心的な作業とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年発見された仏像の保存・移送を目的として再発掘を行う必要があり、前倒し請求を行った。そのため21746円の余剰金額が生じた。
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