本研究課題では1970年代後半から1990年のドイツの再統一の時期までの「緑の運動」を分析対象とした.その中で1970年代後半から興隆してきた「運動」と1970年代末から始まる「制度化(=政党化)」という2つの潮流の相互の影響について実証的に解明した.また制度化の動きの中で,「保守革命」「農業ロマン主義」「価値保守主義」「人智学」「(非)教条主義的新左翼」といった,一部は19世紀にまで遡ることが可能な思想潮流がその中に流入していった事実も指摘した.それまで対極に位置すると見なされていたそれぞれの思想が前提とする社会観・社会秩序観の相違は党内に深刻な内部対立をもたらすことになった.
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