研究課題/領域番号 |
16K03118
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
草生 久嗣 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10614472)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 西洋史 / 西洋中世史 / 地中海 / ビザンツ / 異端学 / 写本 / 書物の歴史 |
研究実績の概要 |
第二年度目では、史料の調査および分析を継続、予定より入手が早まった研究関連資料検討、研究活動内容の国際的また国内向けの中間報告を前倒しで行い、研究内容の内外への周知を行った。 史料調査については、基盤となる主要デジタル・マイクロフィルム資料の収集を果たし、検討・分析・整理の体制に入った。研究に関わる研究叢書を優先的に入手し、史料検討に役立てた。 初年度末に行った国際シンポジウム報告の英文出版に向けての活字化をすすめ、出版社との契約を取り交わしたうえで、原稿を編集委員会に提出した。同じく国際ネットワーク構築の一成果として、米国のビザンツ学者有志との共著英文出版に招聘され、出版契約を交わしたうえで、原稿を編集委員会に提出した。いずれも年度末締切であったため、刊行は2018年度の予定。また研究成果を反映した、概説論文および一般向け解説書を共著出版した。また最終年度末のシンポジウム開催にむけて、専攻を近しくする研究者を招聘し、対話を重ねてゆく形の勉強会を月一回のペースで開始した。 これらはいずれも第三年度目に予定されている総括に際し、国内外からのコメントおよびレビューを有意義なものとするために前もって報告を関係学者に知らせておくという意図がありその目的は達成されている。 以上の結果、史料解析作業およびその国際的な開示の活動成果として、進捗がみられた。活動計画に変化が生じたものの、デジタル媒体で入手を果たしていた主要写本の分析を優先する形で研究計画には支障ない形で、在外研究の効率化を目指す。また研究者間のコミュニケーションをより深めた形での総括イベントの設計が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重要資料を第二年度中に揃えきることに専念して、基本資料収集の大半を終えた形で最終年度を開始することにしたため。 変更点としては、初年次で得た国際的なネットワークのため、現時点までの成果に関心を持った研究者との共同研究出版に招聘され、その原稿作成のための校正費用などが必要となった。もともと旅費・在外調査費として計上された経費についての見直しが必要となり、計画していた活動時期を、三年目に移した。初年度の国際学会で得た知見をもとに写本史料収集の計画を検討していたところ、写真・イメージファイルおよびフィルムでの画像収集(これは第二年度までに重要資料分については達成)について、渡航期間・滞在中の活動資格・安全性の確保には十分な余裕をもつべき旨、知見のある研究者より強く注意を受けた。ここで予定していた調査が、主要部分の補足に類する細かな部分に関わる箇所でもあったことから、研究進捗には大きな遅れをもたらすものでないことを確認しつつ、在外調査についてより一層の合理化のため計画を再検討した。 また第三年度までで購入を検討していた必要な文献を、調査に先立っての環境整備に専念するために二年度までにすべて収集する形となった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度および第二年度に得られた知見およびネットワークを適用しつつ、研究計画調書に従った文書テキスト解析の作業をメインにすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)第二年度に予定していた国内の調査が、第三年度に先送りされたため。 (使用計画)旅費(国外・国内)と物品費(主に最終年度に予定されている成果発表会の設営・報告資料作成にまつわるもの)の一部として使用する。
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