研究課題/領域番号 |
16K03119
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
竹本 真希子 広島市立大学, 付置研究所, 准教授 (50398715)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ドイツ / 平和運動 / 平和主義 / ジャーナリズム / 20世紀 |
研究実績の概要 |
2年目となる2017年度は、前年度に出版した単著『ドイツの平和主義と平和運動 ヴァイマル共和国期から1980年代まで』(法律文化社、2017年)を主要なテーマとし、専修大学歴史学会大会(6月)、ドイツ現代史研究会(10月)、世界政治研究会(11月)での書評会や研究会を通して、これまでの研究成果を研究者に問う機会が多くあった。さらに11月には、ドイツ・ボンのカトリック成人教育センターで開催されたボン独日協会の講演会において「Pazifismus und Friedensbewegung in Deutschland und Japan(ドイツと日本の平和主義と平和運動)」と題してドイツ語で講演を行い、ボン市民をはじめとするドイツの人々と、ドイツの平和主義の歴史や日本との違いなどについて、意見交換の機会をもつことができた。これらの活動から、ヴァイマル共和国を中心として、冷戦終結までの20世紀のドイツのジャーナリズムと平和運動の歴史を振り返るための材料や視野を改めて得ることができた。 こうした研究成果公表のための活動と並んで、前年度と同様に、ヴァイマル共和国期のジャーナリズムにおける平和主義の特徴と、当時の外交および内政との関係性を明らかにすべく、新聞・雑誌資料の講読および分析を進めていった。資料分析は大幅に進むものではなかったが、研究会等で得た新しい知見と課題を取り入れながら、より多角的にドイツの平和主義を捉えることを目指し、調査を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は単著の書評会や研究会などを通して研究報告を行う機会が多数あり、多くのドイツ史や国際政治などの研究者から、報告者の研究について貴重なコメントを得た。これにより、ドイツの平和主義についての見方や、雑誌・新聞記事の取り上げ方などについて、新たな課題が見つかった。とくに平和主義を考える際に、外交問題だけでなく、平和主義者のファシズム分析についても取り入れるべきであるという意見は、大いなる刺激となった。 こうした新しい課題の発見があったのに対し、研究報告により多くの時間を割いたため、『ベルリーナー・ターゲブラット』の資料分析は想定していたよりはやや遅れたが、研究全体としてみれば、おおむね順調に進展していると評価してよいであろう。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2018年度は、さらに『ベルリーナー・ターゲブラット』の調査と分析を進めていく。また昨年度までに見つかった新たな課題についても取り組むべく、同紙で扱う記事の範囲を広げながら、『ヴェルトビューネ』誌や『ターゲ・ブーフ』誌など他の週刊誌の記事とも比較していくこととなる。そのうえで3年間の研究機関のまとめとして、『ベルリーナー・ターゲブラット』を中心としたヴァイマル共和国期のジャーナリズムと平和主義の特徴を明らかにする論文を執筆する予定である。
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