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2016 年度 実施状況報告書

ポストスターリン期のソ連における選挙と民意 その理念と実態

研究課題

研究課題/領域番号 16K03121
研究機関北海学園大学

研究代表者

松戸 清裕  北海学園大学, 法学部, 教授 (10295884)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードソ連 / 民主主義 / 選挙 / 民意 / 国家と社会
研究実績の概要

編集委員を務める『ロシア革命とソ連の世紀』全5巻(岩波書店、2017年6月刊行開始)のため、4月、5月、6月に各2日間の研究会を開催し、ソ連期全体を俯瞰しつつポストスターリン期のソヴェト政権と共産党にとっての民主主義と民意の意味について再検討した。
9月および3月にはモスクワのロシア連邦国立文書館でロシア共和国最高会議幹部会フォンドの史料を渉猟した。
上記の研究活動と、2012~2015年度に採択された科学研究費基盤研究(C)による研究成果に基づいて、『ソ連という実験 国家が管理する民主主義は可能か』(筑摩選書、2017年1月)を刊行した。同書においては、本研究課題の中心的なテーマである選挙について制度と実態を詳細に論じている。ソヴェト政権が民意をいかに反映しようと努めていたかについても検討されている。選挙制度、選挙の準備過程、選挙の実際、これらについてソヴェト政権が認識した問題点などについて一次資料に基づいて詳細に論じた研究は類例がなく、重要な研究成果であると考えている。
これに加えて、上記の『ロシア革命とソ連の世紀』第3巻(2017年8月刊行予定)に所収予定の論考2本(総説および第5章)の原稿を執筆した。これらの原稿では、冷戦という「平和競争(平和的な競争)」において民主主義をめぐる競争がソ連で重視されていたこと、一党制の下で公的な異議申立ての機会が厳しく制限されていた一方で社会生活には様々な「自由」の可能性が存在していたことなどが論じられている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究会での活動、文書館での史料調査、研究成果の公表のいずれについても、全体として順調に進展していると考えている。
「研究実績の概要」に記した通り、2017年1月には『ソ連という実験 国家が管理する民主主義は可能か』を刊行することができた。同書は、詳細な典拠と註を付した400頁に及ぶ学術書でありながらも一般向けの選書として刊行したことによって、科学研究費による研究成果であると同時にその成果を広く社会に発信する役割を果たしていると考えている。
『ロシア革命とソ連の世紀』のシリーズも、最新の研究成果に基づいた論考であると同時に広く一般向けに研究成果を紹介する趣旨のもので、同シリーズ第3巻に所収予定の2本の論考もまた、科学研究費に基づく研究成果を広く世に問うものである。

今後の研究の推進方策

2016年度までに収集した史料や文献を精査し、検討することによって、ポストスターリン期のソヴェト政権と共産党にとっての選挙、民主主義および民意の意味について歴史的・実証的に描く論文に取り組む。
2017年8~9月および2018年3月にはモスクワの文書館で本研究課題全体に関わる史料調査をおこなう。
2016年度に刊行した『ソ連という実験 国家が管理する民主主義は可能か』について冷戦研究会およびロシア史研究会による合評会が企画されているので、そこで出された指摘に基づいて、ソ連の選挙と民意についての考察をさらに深める。また、2017年度中に同書が増刷となる機会があれば、こうした指摘や考察の結果を反映させることで広く社会に発信する。

次年度使用額が生じた理由

科学研究費による研究成果を広く発信すべく、著書『ソ連という実験 国家が管理する民主主義は可能か』の執筆と校正に時間と労力を集中したため、本研究課題申請時の計画よりも資料調査や研究会活動に費やす時間が少なくなってしまった。そのため、旅費支出が計画よりも少なく、次年度使用額が発生することになってしまった。

次年度使用額の使用計画

今年度、時間と労力を費やすことになった著書が無事刊行されたため、次年度は資料の収集とその検討に集中することができると考えている。モスクワの文書館や国内の図書館で資料調査を積極的におこなう予定で、次年度使用額はその際の旅費として無理なく支出することができると考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ソ連という実験 国家が管理する民主主義は可能か2017

    • 著者名/発表者名
      松戸清裕
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      筑摩書房

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公開日: 2018-01-16  

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