研究実績の概要 |
2018年度は、史料の読解を進めつつ、これまでの研究成果を学会で報告した。4月には九州西洋史学会大会にてシンポジウム「中世後期ロンドンの「外国人」と都市社会」を行った。このシンポジウムではまず上野が「15世紀ロンドンにおける「外国人」-出身地・居住地・職業」として報告した。先行研究の動向を示し、中世イングランドの「外国人」データベース(England’s Immigrants, https://www.englandsimmigrants.com/)を利用してロンドンの「外国人」の概要を示した。次に佐々井が「中世後期ロンドンの同職ギルドと「外国人」-金細工師を中心に―」として、ギルド規約の分析を行った。第三報告は、研究協力者の田村理恵が、「中世後期ハルの交易-「外国人」商人とヨークシャーの商人-」と題して、ハルにおける交易と「外国人」に関する報告を行った。これらの報告に対して、中世フランス史の花田洋一郎氏、中世イタリア史の藤内哲也氏からそれぞれコメントをいただいた。 6月には東京で行われたヨーロッパ中世史研究会にて上野が研究報告「中世後期ロンドンにおける「外国人」-最近の研究動向から」を行った。また2018年9月には韓国で行われた東アジアブリテン史学会において上野が英語による研究報告‘Aliens in Late Medieval London’を行った。 これらの研究を進める中で、史料や先行研究の問題点があらためて浮かびあがってきた。史料によって、また地域や時期によって、どのような人物を「外国人」としたのかは異なってくる。また、「外国人」データベースにも問題点があることが分かってきた。浮かび上がってきた問題点を検討し、今後の研究にいかしたい。
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