研究課題/領域番号 |
16K03134
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
佐藤 清隆 明治大学, 文学部, 専任教授 (90235333)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イギリス / 多民族都市レスター / 多宗教統合 / アイルランド系移民 / カトリック教会 / パーソナル・ナラティヴ |
研究実績の概要 |
(1)2016年度は、現代イギリスにおける多民族都市レスターの「好評判」再考に向け、アイルランド系移民について、彼らとのインタビュー、カトリック教会の訪問、イヴェントの参加(聖パトリックの祝日のパレードなど)を含む現地調査を実施した。とくにインタビューに関しては、「個人のライフ・ストーリー」を蓄積してきている。 (2)明治大学特定課題研究ユニットの「多宗教・多文化の歴史研究所」から「記憶と語りシリーズ」(英語版)の9冊目として、1980年にレスターに来て、それ以後30年以上にわたりインド舞踊の普及に努めてきたインド系女性(ニリーマ・デイヴィ氏)とその夫メンスキー氏のライフストーリーを刊行した。また、そのシリーズⅡの1冊目として、1954年にインドのパンジャーブ地方からコヴェントリーに渡って来て、そこに60年以上も住んでいるヒンドゥー教徒(ラム・クリシャン)とその妻ネスビット氏のライフ・ストーリーも刊行した。 (3)1956年にインドのパンジャーブ地方からレスターに渡ってきて、50年以上もレスターに住み、現在、そこの市役所に勤務しているモヒンダー・シング氏に、本シリーズ8冊すべての「書評」を執筆してもらい、同研究所から『ディスカッション・ペーパー』の1冊として(第7号)として刊行した。また、その号には、地元のオーラル・ヒストリアンであるシンシア・ブラウン氏からの、その「書評」に対するコメントも掲載した。このシリーズは、新たな学際的国際交流の試みの一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由)海外出張のレスター滞在中に、インタビュイーの都合が悪くなり、インタビューのできない方がでて、予定の人数のインタビューを実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、2016年度の研究・調査を踏まえ、さらにインタビューを含む現地調査とその分析をすすめ、次年度の「多民族都市レスターの多宗教統合とアイリッシュ移民」をまとめる作業につなげる。また、「記憶と語りシリーズ」の一冊としてアイランド人夫妻のライフ・ストーリーを次年度に刊行できるよう作業をすすめる。なお、2016年度にインタビューのできなかった方たちについては、今年度の海外出張中に実施し、これまでの研究・調査を補う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度から2016年度は、大学学部内の役職(学科長)を務めていたため、海外出張を最初の予定より短くせざるを得なかったこととその間、研究時間が思うように確保できなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年3月で、大学学部内の役職が終了したので、海外出張をより長くとり、研究・調査を実施するだけでなく、他にも研究時間をできるだけ確保し、残額を書籍費などに充てる予定である。
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