研究課題/領域番号 |
16K03134
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
佐藤 清隆 明治大学, 文学部, 専任教授 (90235333)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イギリス / 多民族都市レスター / 多宗教統合 / アイルランド系移民 / カトリック教会 / パーソナル・ナラティヴ |
研究実績の概要 |
(1) 2017年度は、現代イギリスにおける多民族・多宗教都市レスターの「好評判」再考に向け、在英の南アジア系、ブラック系、ホワイト系(ユダヤ系・ラトビア系・ポーランド系)の研究を踏まえ、在英アイルランド系移民(イギリス生まれの二世も含む)に関する研究・調査を進めた。その主な内容は、彼らとのインタビュー、彼らの暮らしや宗教・文化・アイデンティティとも密接に関連するローマ・カトリック教会や「エメラルド・センター」(2000年代にアイルランド政府からも基金を得て創設された文化施設)の訪問、イヴェントへの参加(聖パトリックの祝日のパレードや結婚式など)を含む現地調査である。とくにインタビューについては、高齢者を中心に「個人のライフ・ストーリー」を蓄積してきている。 (2) 明治大学特定課題ユニットの「多宗教・多文化の歴史研究所」から『ディスカッション・ペーパー』第8号(英語版)を刊行した。この冊子は、約20年にわたってレスター市役所の芸術・博物館部門の責任者として、実際にイギリスの多文化主義政策を都市レヴェルで実際に担ってきたセーラー・レヴットの作品である。本冊子は、同研究所刊行の『記憶と語りシリーズ』(英語版)10冊と『ディスカッション・ペーパー』第7号(モヒンダー・シング、英語版)の書評および彼女自身のライフ・ストーリー、レスターの祭りや彼女の家族の写真などを収録している。このシリーズも、新たな学際的国際交流の試みの一つである。 (3) 拙文としては、「多民族都市レスターに憑かれて」(『広島日英協会会報』no.113、2017年5月31日、4-8頁)や「多民族都市レスターのホワイト・ブリティッシュたち」(『明治大学人文科学研究所紀要』第82号、2018年3月、159-194頁)を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(2)おおむね順調に進展している。 先の「研究実績の概要」の通りである。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、3年目の最終年度に当たるので、2016年度、2017年度の研究・調査結果を踏まえ、さらにインタビューを含む現地調査やその分析を進め、さらにそれらを本研究課題の「多民族都市レスターの多宗教統合とアイリッシュ移民」に繋げていく予定である。また、『記憶と語りシリーズ』の一冊として、在英アイルランド系二世夫妻の「ライフ・ストーリー」のブックレットを刊行する予定である。北アイルランドでの現地調査も実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2018年度3月の海外出張の精算が次年度(2018年度4月)になるため。しかし、研究計画は予定通り実施したので、その使用計画は生じない。
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