(1)2019年度は、現代イギリスにおける多民族都市レスターの「好評判」再考に向け、アイルランド系移民について、彼らとのインタビュー、カトリック教会やエメラルド・センター(アイルランド系移民の施設)の訪問、イヴェントの参加(聖パトリックの祝日のパレードなど)を含む現地調査を実施した。とくにインタビューに関しては、高齢者を中心に「個人のライフ・ストーリー」を蓄積してきている。(2)明治大学特定課題研究ユニットの「多宗教・多文化の歴史研究所」から「記憶と語りシリーズ」(英語版)として、以下の3冊を刊行した。まず11冊目として、レスターに居住するイングランド生まれのアイルランド系移民2世、ダナハー夫妻のライフ・ストーリーを取り上げた。昨年度、彼らが病気のため、研究計画の遅延・変更をお願いしたが、その後病気も回復し、無事彼らのライフ・ストーリーを刊行することができた。10冊目としては、アフリカン・カリビアンのビジネス・ウーマンを取り上げ、刊行した。彼女は、1966年に6歳でカリブ海諸島のジャマイカからイングランドに渡ってきている。そして、最後の12冊目として、移民ではなく、[受け入れ社会」の人々といわれるイングリィッシュ(ホワイト・ブリティッシュ)でイングランド国教会メンバーでもあるアダムソン夫妻のライフ・ストーリーを取り上げた。二人ともレスター生まれで、とくに妻のマーガレットは80歳を超える今日までずっとレスターに住んでいる。
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