1994年にメキシコ南部で勃発したサパティスタ民族解放軍の武装蜂起は新自由主義的理論に基づくNAFTAに対する厳しい異議申立てであったがゆえに、世界中のマイノリティや先住民研究家に強いインパクトを与え、現代の先住民の鬱積した不平・不満の解決には、彼らの祖先が被った過去の苦難の歴史を調査・分析することが再認識された。本研究は先住民農民反乱の原因を究明したもので先行研究が見落としていた公的・私的・共同体的3アクターの関係性に注目し、主にメキシコの公文書館に所蔵される19世紀の記録を収集・分析することによって仮説証明に取り組んだ。現代の先住民の窮状を広く知らしめる学術的・社会的意義があったと言える。
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