研究課題/領域番号 |
16K03140
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
宮野 裕 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (50312327)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ロシア / 教会 / 中世 / 国家 |
研究実績の概要 |
昨年度は丁度、所属機関より海外研修の機会を得て、ロシア、ウクライナにおいて本研究を進める機会を得た。研究計画に記載したА・В・クジミンの近著『モスクワへの道』において進められている人的関係の研究を批判的に受容しながら、「府主教宮廷」と「大公宮廷」における勤務人の人的関係を分析した。その結果、事前の想定通り、14世紀末から15世紀半ばまでの時期について、同族中に府主教宮廷に勤める者と大公宮廷に勤める者が存在する事例、あるいは大公宮廷から府主教宮廷に勤務替えをした(或いは勤務替えを命じられた)事例を見いだすことができた。現在はこれを文章にまとめる段階にある。 その他、ウクライナのキエフ及びリヴィウにおいて、本研究課題に関わる資料を入手できた。とりわけ、ロシア革命以前のウクライナ語資料は日本国内で入手のできないものが多く、今後の研究に活用できる。とりわけ『キエフ大学紀要』には、15世紀の教会内の人事に関わる研究が三点ほど存在していたため、その入手は今後の研究に役立つ。またこの方面については、多くのロシア人(A・ホロシケーヴィチ博士ら)、ウクライナ人研究者(В・ウリヤノフシキー教授ら)から多くのアドヴァイスを得ることができた。 またこの時期のロシア教会に関する研究書(J・フェンネル『ロシア中世教会史』。原題A History of Russian Church)の邦訳を教文館より出版した。それにより、この時期の教会史に関する知見を高めるとともに、市井に研究を公開することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外研修で当初の予定とは変わったものの、運良く研究場所を提供され、また資料を見いだすことができたため、概ね順調に進展している。残された課題は成果をまとめ上げることである。
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今後の研究の推進方策 |
15世紀半ば以降の時期におけるロシアの府主教座と国家との人的関係を探っていく。ここはクジミンの研究がカバーしていない時期であるので、丹念な史料の研究が必須である。具体的にはラズリャードなどの史料と、С・ヴェセロフスキーの古典的研究との摺り合わせが課題となろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の海外研修で一年間ロシア・ウクライナに滞在していたため、科研研究費の使用可能な用途が限られていたため、使い切ることが出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は通常の生活に戻ったため、早速研究費で図書の購入、また国内及び海外への出張に使う予定がある。
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