ロシアにおける聖俗権力の緊密な関係はどこに起源を辿れるのか。これまで報告者はこれを政治事件、法的側面から検討してきた。本研究はこれに加え、両権力間の人的交流の存在に目をつけた。 具体的には、14-15世紀のモスクワ宮廷と府主教宮廷における人事交流、それから府主教座に作られた、俗人を構成員とする府主教宮廷の解明に取り組んだ。これは府主教座のウラジーミルへの移動と関係があった。構成員は次第に、ヴャコント家などの特定の家門が担っていく。こうした官僚たちは「任期」途中で交代させられることもあった。このような形で世俗権力は教会を管理することが出来、ロシアの政治権力は教会権力をその支えと出来た。
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