研究課題
基盤研究(C)
フランスを観測地点とする啓蒙期ヨーロッパ思想・文化の国際交流を、当時の新しい社交組織として急速な発展をとげたフリーメイソン団の活動を中心に研究した。そのためにフランス各地とアイルランドで調査旅行をおこない、現地の文書館・図書館・博物館を訪問して史料を探索し、また体系的に文献を収集して、それらの参照・分析・考察の成果を、日本語・英語・フランス語で公表して、国際的研究水準の向上に努めた。
西洋史学
わが国では、フリーメイソン史研究は未踏の分野であり、この分野で豊富な蓄積のある欧米学界との落差は大きい。本研究の学術的・社会的意義は、この落差を埋め、秘密友愛団に関する正確な認識を日本の歴史学界に浸透させると同時に、現代欧米社会におけるその存在理由を、一般市民にも理解可能にすることにある。この目的を達成するために、欧米文献のたんなる紹介・翻訳ではなく、みずから史料を探索・収集・分析する独創的研究を遂行し、それにより国際学界との対話を試みた点に、本研究に固有の意義と貢献がある。