研究課題/領域番号 |
16K03145
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研究機関 | 太成学院大学 |
研究代表者 |
黒川 正剛 太成学院大学, 人間学部, 教授 (30342231)
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研究分担者 |
楠 義彦 東北学院大学, 文学部, 教授 (20234429)
小林 繁子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20706288)
谷口 智子 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (00363911)
福田 真希 中部大学, 全学共通教育部, 講師 (00711160) [辞退]
田島 篤史 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 研究員 (40802765)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 魔女 / 社会的周縁者 / メディア / 宗教改革 / 植民地 |
研究実績の概要 |
2018年7月21・22日に共同研究会を開催し、研究代表者(黒川)と研究分担者(楠、小林、谷口、田島)が研究発表を行い、研究の進捗状況を相互に確認し、研究の総括を行った。 黒川は「近世のヨーロッパとラテンアメリカにおける社会的周縁者の創出とメディア」の題目で研究報告し、三年間の共同研究の成果をふまえた上で、近世フランスのパンフレットにおける魔女と社会的周縁者の創出について検討した。楠は「近世イングランドにおける周縁者としての魔女」の題目で研究報告を行い、近代化の進展を民衆的メディア(パンフレット)で捉えるため、規範的メディアとしてのVisitation Articlesを史料として検討した。小林は「学識者の魔女観念と裁判実務」の題目で研究報告し、法鑑定をメディアとして捉え、訴訟記録送付制度に着目し、魔女裁判に対する学識者の態度に関して検討した。谷口は「リマの異端審問」の題目で研究報告し、16世紀のドミニコ会修道士アルボルノスがペルーで行った巡察をもとに著した史料を使用してキリスト教徒によるインディオの同化について検討した。田島は「近世ドイツにおける社会的周縁者の創出とメディア‐ニュルンベルクの魔女裁判にみる悪魔学的要素と近代性の萌芽」の題目で研究発表を行い、帝国都市ニュルンベルクにおける社会的周縁者としての魔女と悪魔学書や裁判記録等のメディアの関連性を検討した。共同研究で主に使用したパンフレット史料は科研費で購入したマイクロフィルムであり、未公刊の貴重な資料から社会的周縁者としての魔女の具体像を抽出することができた。 研究の総括から、社会的周縁者の創出のプロセスを「排除と包摂」の両面からとらえ、そのプロセスを印刷メディアと近代化との関連性の中で究明し、近世ヨーロッパ社会における「寛容と多様性(ダイバーシティ)」の具体的様相を解明することが今後の研究の展開として確認された。
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