研究課題/領域番号 |
16K03166
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
遠藤 英子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (60766947)
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研究分担者 |
那須 浩郎 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (60390704)
山田 昌功 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (00620387)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ウクライナ / 栽培穀物 / レプリカ法 / オオムギ / 新石器時代 / Trypillia文化 |
研究実績の概要 |
研究初年度に当たる28年度には、9月21日から28日までウクライナでレプリカ法調査を実施した。現地キエフではまず、海外共同研究者であるウクライナ国立考古学研究所のDr.Alex Yanevich氏や同研究所研究員、キエフ国立大学のDr.Mykhailo Videiko氏らに本プロジェクトの計画、目標、研究手法であるレプリカ法について説明する簡単なセミナーを実施した。この訪問以前に、調査対象遺跡や対象資料の選別、閲覧・作業許可の申請などは、すでにDr.Alex Yanevich氏と研究代表者とのメールによる打ち合わせで準備してあった。 その後彼らと連携して実際に、ウクライナの新石器時代から金石併用時代の6遺跡出土資料を対象に、土器圧痕を観察、種子由来と予測された圧痕からレプリカを採取した。それらレプリカは日本に持ち帰り走査型電子顕微鏡で検鏡し、研究分担者那須浩郎博士とともに種子同定を行った。 調査を実施した新石器時代の4遺跡資料から栽培穀物は検出されていない。すでにウクライナの考古植物学者によってオオムギと報告されている複数の圧痕資料からもレプリカを採取し観察を実施したが、これらも栽培穀物とは同定できなかった。圧痕の肉眼観察による種子同定データについてはやはり再検証が必要と思われる。一方でTrypillia文化後半期(3600-3850BCE)のMaidanetske遺跡出土の建築材からは、混和材として混ぜ込まれたと思われるオオムギを複数同定した。軸など種実以外の植物の様々な部位も観察されるため、脱穀後の不要部位が利用されたものと思われる。 一方で6月4日から9日にはパリで開催された第17回国際古植物学者会議に参加し、レプリカ法の日本での研究状況について発表し、またウクライナを含む東ヨーロッパの研究者たちとも情報交換することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度としてプロジェクトの道筋をつけ、実際の調査に着手できたため、現状では研究は順調に進展していると考える。特に海外での調査のため、現地での協力体制整備が成果の鍵を握るが、幸い「ウクライナにおける農耕の伝播と多様性」という本研究テーマに多くのウクライナ側研究者の理解と協力を得ることができ、調査は順調に進展している。 また本研究には、日本で開発されたレプリカ法という新たな研究手法を現地研究者に紹介し、共同研究を行い、本科研終了後も継続できる共同研究体制を構築するという目標もあるが、すでに2名の研究者がレプリカ法を習得し、日本側研究者不在時にも独自で調査を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
すでに29年度の調査として4月9日から15日まで第2次調査を実施した。本年度は秋に3次調査を予定している。 新石器時代のウクライナでの栽培穀物の有無を確認することが第一の課題となる。そのためには出現期を明らかにするための時間幅を持った資料や、地域性を検討するため各地域の資料など、観察対象資料の選択が重要となる。今後もウクライナ側研究者と検討を重ね、資料を絞り込んで調査を継続していきたい。土器に種子圧痕が形成されるのは非常に限られたチャンスであるため、どれほど多量の対象資料を観察できるかも重要であり、可能な限り効率的に多くの資料の観察を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に2回の現地調査を予定していたが、受け入れ側研究者のスケジュールや冬季の調査が困難なため、1回のみの調査となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度にすでに実施した2次調査では、レプリカ法を習得中の大学院生を同行して、作業効率アップを図った。また29年度は後2回の調査(秋・春)を予定している。
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