研究課題/領域番号 |
16K03172
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研究機関 | 鹿児島女子短期大学 |
研究代表者 |
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 教授 (70264439)
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研究分担者 |
高宮 広土 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40258752)
大西 智和 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 教授 (70244217)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 喜界島 / 中世 / 古人骨 / 屋鈍遺跡 |
研究実績の概要 |
喜界島南部の手久津久遺跡群から出土した人骨の整理・復元を行った。同遺跡群中の、崩リ遺跡から出土した中世末の古人骨の研究資料化の作業を行った。また、1次資料化が終了した崩リ遺跡人骨について、形態学的調査と分析を開始した。骨形態、歯の形態、骨格のストレスマーカー、う蝕(虫歯)、歯周病、歯の咬耗状況、抜歯型式、他の生活習慣や作業習慣、加齢による骨形態の変形、骨格に残る病気や外傷痕、歯を作業に使用した痕跡に関するデータ収集を行った。 次に、喜界島島内で埋葬環境の異なる古人骨との比較研究を行うために、砂丘埋葬址として知られる荒木小学校遺跡周辺の調査を行った。埋葬址の発見につながる情報は得られなかった。 さらに、奄美諸島内での中世人骨の変異を探るために、奄美大島宇検村の屋鈍遺跡の発掘調査を行った。4基の中世墓を発掘し、4体の中世人骨を得た。内、2体は極めて保存状態が良い。4体とも、仰臥屈葬であった。4基の墓を作った砂層から青磁腕片が検出されており、4基の墓は13世紀前後につくられた可能性が考えられる。同時期の喜界島では、初埋葬後、遺骨を掘り出し、一部の骨を移動させたり、掘り出した骨を火葬し、再び埋める行為が行われている。今回の屋鈍遺跡で発見された墓は、いずれも埋葬遺体が白骨化した頃に墓を再び掘り返し、人骨を移動させた痕跡は認められなかった。これは、当時の屋鈍には、初埋葬後、白骨化した遺骨を掘り返す習俗はなかったことを意味するものなのか、今後も検討を続けたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手久津久遺跡群から出土した人骨の整理・復元が順調に進展している。また、1次資料化が終了した人骨について、形態学的分析も始まっている。 屋鈍遺跡で実施した発掘調査も成果を挙げ、2体の保存良好な人骨を含む4体の中世人骨が得られていることから、研究は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
手久津久遺跡群から出土した人骨の整理・復元と、形態学的分析をさらに進める。比較資料を得るための発掘調査を喜界島と奄美大島で実施することを計画している。発掘調査により、新たな古人骨資料が出土した場合、それらも含め、中世喜界島人の系統と生活および埋葬について吟味したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
喜界島中世人骨との比較資料を得るための発掘調査を1度しか実施できなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
喜界島中世人骨との比較資料を得るための発掘調査を屋鈍遺跡以外でも実施する。
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