研究課題/領域番号 |
16K03174
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
飯島 武次 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (90106641)
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研究分担者 |
角道 亮介 駒澤大学, 文学部, 講師 (00735227)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 早期秦文化 / 前期秦文化 / 西周時代 / 大堡子山城址 / 雍城 / 咸陽城 / 秦 / 岐以西之地 |
研究実績の概要 |
中国陝西省渭河両岸に分布する西周時代併存早期秦文化および東周時代秦文化の遺跡・遺物の考古学調査と研究を行うことを目的として1年間の研究活動を行ってきた。基礎作業として、『史記』『漢書』『水経注』など文献史料に記載された早期秦・東周時代秦に関わる史料を考古学の目で再確認を行った。 2016年5月20~23日の間、研究代表者飯島武次は、中国鄭州市で開催された「中国考古学大会」に参加し、講演および研究発表を行い、あわせて秦文化成立にかかわる研究連絡を陝西省考古研究院の王偉林院長・焦南峰教授と行い、その後、24・25日には、北京大学考古文博学院を訪問し、徐天進教授と9・10月の遺跡発掘に関して打ち合わせを行った。2016年8月29~9月1日の間、研究代表者飯島は、北海道にある東京大学大学院人文社会系研究科付属北海文化常呂実習施設に於て行われた北京大学考古文博学院の発掘実習に出向き、発掘技術交流を行った。 2016年9月26日から10月5日の間、研究代表者飯島武次、研究分担者角道亮介、研究協力者大日方一郎・于術は、北京大学考古文博学院・陝西省考古研究院が行った中国宝鷄市岐山賀家村の発掘調査に参加した。早期秦文化に併存する西周時代遺構が主体であったが、西周遺構を切る東周時代秦文化の土器窯の存在を確認し、土器や瓦の出土があった。発掘期間を利用して、秦漢時代遺跡の大発見である鳳翔県血池の北畤祭祀遺跡の発掘を視察した。又この期間に宝鷄市青銅器博物館、秦公一号墓、秦雍城の見学、雍城遺跡発掘工作站の訪問を行った。研究協力者大日方一郎は、発掘終了後、飯島の指示で10月6~9日の間、甘粛省礼県の前期秦文化の大堡子山遺跡・圓頂山遺跡の踏査を行った。研究協力者于術が中国へ帰国したため、2017年度から山本尭(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程考古学)に研究協力者を頼むことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画として当初、文献史料の再確認、中国側への研究協力依頼と研究計画打ち合わせ、早期・前期秦文化関係遺跡の発掘・踏査の、三つの基本的な行動計画を予定していたが、それらはおおむね予定通り実行できた。早期秦・東周時代秦に関わる『史記』『漢書』『三輔黄図』『水経注』等の史料を考古学の目で再確認する作業は順調に進んでいる。史料に見られる犬丘・邑之秦・岐以西之地・幵渭之間・平陽・雍城と想定される地域を研究の対象と考えた。 研究協力依頼と研究計画打ち合わせに関しては、5月に中国鄭州市で開催された「中国考古学大会」に参加することによって、陝西省考古研究院・王偉林院長および焦南峰教授と直接打ち合わせを行うことが出来、協力を得られることになった。9月26日から10月5日の10日間、研究代表者飯島武次、研究分担者角道亮介は、北京大学考古文博学院・陝西省考古研究院が実施した中国宝鷄市岐山賀家村に存在する西周時代・早期秦文化時代遺跡の発掘に参加し、秦建国前後の秦人と周人との関係に関して考古学的に成果を上げることが出来た。ただ予算の関係から調査期間が短くなった。発掘期間を利用して、陝西省考古研究院が行っていた鳳翔県血池の北畤祭祀遺跡の発掘現場を視察し発掘担当者田亜岐研究員と学術交流を行うことが出来た。また雍城遺跡発掘工作站において北畤祭祀遺跡出土遺物を観察、調査することが出来た。これは秦文化研究の上で文献史料に見られる鹿畤など秦四畤(秦漢五畤)の記載と対応可能な思わぬ成果であった。又この期間に宝鷄市青銅器博物館見学、秦雍城の踏査は予定通り行えた。研究協力者大日方一郎は、10月6~9日の間、甘粛省礼県の前期秦文化の大堡子山遺跡・圓頂山遺跡の踏査をおこなった。これは当初からの予定の活動であったが、飯島は時間の関係で踏査に参加できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
秦関係の出土文字資料としての雲夢県睡虎地出土竹簡や龍山県里耶出土竹簡等から本研究に関係する簡牘の確認作業、および秦青銅器の資料収集と銘文史料の整理確認作業を引き続いて行う。またこれまでに撮影した秦関係遺跡・遺物撮影フィルムが相当量在るので、フィルムスキャーンを行い、デジタル資料への変換作業にかかる計画を新たに立てた。 2017年度には、研究代表者飯島武次が8月上旬に5日間の予定で北京大学考古文博学院・陝西省考古研究院・甘粛省文物考古研究所を訪れ、9・10月に予定している渭河流域で行われる早期秦関係遺跡発掘調査・西周関係発掘調査の現場確認を行い、設営関係の打ち合わせをする。9月中旬から約15日間の予定で、研究代表者飯島武次、研究分担者角道亮介、研究協力者大日方一郎・山本尭は、北京大学考古文博学院・陝西省考古研究院・甘粛省文物考古研究所が主体者となって行う早前期秦文化または西周文化関係遺跡の発掘調査に参加する。 2018年度は、当該研究の最終年度なので、室内作業としての研究とりまとめ作業に主眼を置く。9月中旬から約15日間の予定で、研究代表者飯島武次、研究分担者角道亮介は北京大学考古文博学院・陝西省考古研究院・甘粛省文物考古研究所が主体者となって行う秦関係遺跡の発掘調査に参加する。2018年度には、2016・2017・2018年度に行った当該科学研究費による研究成果をとりまとめ、年度末日までには概報を刊行する予定である。 研究を計画通り遂行するために中国側海外共同研究者として、2017・2018年度も、 徐天進(北京大学考古文博学院教授 総合企画協力)、 趙化成(北京大学考古文博学院教授 秦文化研究・遺跡発掘協力)、焦南峰(陝西省考古研究院前院長 秦文化研究・遺跡発掘協力)、王輝(甘粛省文物考古研究所長 遺跡発掘・踏査協力)の協力を仰ぐ予定である。
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