本研究の目的は、近世期、近代期の各地に残る漁場図・地誌書等を用いて、地域の海洋資源利用の歴史的な変化について解明することにある。国内外における近世近代の漁場図と地誌書等を集積するための調査を進め、図に描かれた漁場の景観や空間利用形態や地誌書に記された魚利用、習俗について抽出した。それを踏まえ、現地調査を実施した。 期間中の成果としては、近世期の都市と村落における地魚利用、薩摩藩領の定置網漁場利用の変化と史料翻刻紹介、近世期の海辺利用の多様性(生業、レジャー)、シイラ魚名分布の歴史的な変化、九州西岸地域における近世後期漁村の疫病対応、刺身と塩干物の歴史などの研究を発表、公表することができた。
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