研究課題/領域番号 |
16K03189
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
香川 貴志 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70214252)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 都市復興 / 防災・減災教育 / 三陸 / ポートアルバーニ / クライストチャーチ |
研究実績の概要 |
2018年度は、本研究の目的を達成するため、2つの領域についての研究を継続した。その2つの研究領域は次の通りである。 (1)震災からの都市復興に関わる調査研究:継続的にデータ蓄積を図っている神戸市中央区における分譲マンションの供給に関するデータ入力作業を継続した。また、年度末には岩手県宮古市を主な対象地域として、防潮堤の増設工事の進展状況、公的施設や社会インフラの整備状況、防災対策を含む小学校社会科副読本の調査を実施した。副読本の調査は次に挙げる(2)とも関係するものである。 (2)地震災害の防災と減災に関する研究:カナダのブリティッシュ・コロンビア州ポートアルバーニ市において、津波対策の実地調査を実施した。この研究成果は東北地理学会秋季学術大会で口頭発表し、査読付き雑誌に投稿中である。審査結果は「採用の方向で進めるが、修正原稿を再び編集委員会で審議」という段階にある。2019年度中の受理と掲載を目指したい。この他、防災・減災を含む話題提供や書評執筆、高校生を対象とした授業提供で研究成果の社会還元を図った。また、2017年度の調査結果の一部を日本地理教育学会で口頭発表し、ニュージーランドのクライストチャーチ市におけるン防災教育の課題について論じた。 これらの研究実績は、絶えず成果の社会還元を意識したロードマップ(研究計画)に即して進めているが、学内の併任業務(附属学校校長)との兼ね合いで、予定を完全に遂行するには至らず、計画の95%程度の達成率に留まったと自己評価している。ただ、研究は概して順調に進んでおり、今後も一層の社会還元を目指して研究の深化を図りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は研究代表者が図らずも附属学校の校長を併任することとなったため、当初は青森での学会発表に合わせて予定していた岩手県宮古市での実地調査が年度末にズレ込む、さらにクライストチャーチで予定していた補足調査が実施できなくなるなどの予定変更があったが、その他の研究計画については、ほぼ計画通りに遂行することができた。 今回の研究テーマは、強く社会還元を意識したものであるため、国際地理オリンピックの国内最終選考で都市防災に触れる講義ができたこと、高校生を聴衆として防災をテーマにした授業提供ができたことなどは、計画以上の社会還元を実現したと考えている。 また、カナダ西海岸のポートアルバーニにおける現地調査では、日本の津波対策との相違を浮き彫りにすることができた。その要点については秋季に口頭発表を済ませて、現在は査読制の学術専門雑誌に投稿・審査中である。 今年度はこれまでに得た調査結果のまとめを進め、ポータブル型で日英両語対応の防災マニュアルを作成し、それを調査対象地域の自治体に届けて現地で議論することを目標にしている。以上のように本研究は概ね順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は本研究の最終年度にあたるため、研究成果をまとめていく作業、ポータブル型の日英両ご対応防災マニュアルの作成、このマニュアルを携えて現地での配布と議論を予定している。また、小学校社会科の副読本が2020年春季に改訂される調査対象地域の宮古市において、編集の最終段階における現地での聴き取り調査を予定している。その聴き取り調査の結果は、時間的にみて本研究の期間内にまとめることが難しいと思われるが、今秋に申請予定の次年度からの科学研究費補助金では、現在の併任先の業務内容を存分に活用して「小学校社会科副読本にみる防災・減災対策の課題」を研究テーマにして、本研究で得た成果を一層発展させ、地理学的見地に立った防災・減災教育のボトムアップと裾野拡大を並行して図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していニュージーランドのクライストチャーチでの補足現地調査が勤務先の併任業務(附属学校の校長職)との日程調整で不可能になったため。
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