研究実績の概要 |
経済のグローバル化とともに、在日インド人、ネパール人が急増している。移民社会は初期段階では資源が限られ、協調が「戦術」(弱者が自分のものを持たない土地でなんとかやっていくための実践(ミシェル・ド・セルトー,1987))である。人口増加とともに利用可能な資源が増加し、利害が競合すると、「戦略」(自分の固有な土地を持つ権力主体が外部や客・競争相手との関係を管理するための実践(同))へと「空間的実践」(エスニックな空間おける移民らが自分たちの空間を作り上げていこうとする行為)が次第に移行している。本研究では、在日インド人移民とネパール人移民を比較しながら、「空間的実践」(「戦術」から「戦略」への移行プロセスと、「戦術」の多様化や変化)を分析することにより、エスニシティと空間との関係性を明らかにした。 在日インド人・ネパール人移民社会に関して、世界の在外インド人・ネパール人や他の在日外国人との比較を通じて、その特色を明らかにするため、以下のことを行った。 1)インド人・ネパール人移民の居住地の分布や社会的属性を,既存の研究および母国の統計資料を用いて明らかにし,母国における移民の意味を解明した。 2)在日外国人の国籍別居住地・就業地分布に関して,法務省資料・国勢調査・集住地での自治体独自の統計を用いて,統計分析を行った。 3)その結果、 南埜・澤「ネパールにおける留学ビジネス―日本語「学校」の戦略」、および澤・南埜「ネパール料理人のエスニックビジネス―神戸のインド料理店のエスニック戦略」の口頭発表を日本地理学会2020年 春季学術大会で行うことが出来た。また、澤 宗則(印刷中)「インド人IT技術者ーインド人コミュニティ」移民・ディアスポラ研究9として論文発表した。
|