研究課題/領域番号 |
16K03194
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
鹿嶋 洋 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (50283510)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中小製造業 / イノベーション / 地域産業政策 |
研究実績の概要 |
本研究は,熊本県を主たる対象地域として,地方圏中小製造業のイノベーションに着目し,その地域的特性と,地域産業政策との関連を明らかにすることを課題としている。 平成29年度は第1に,熊本県における産業集積構造の実態把握を統計データの分析から進めるとともに,県内中小企業の経営の変遷とイノベーションの取り組みの事例について,公表資料及び過去の聞き取り調査結果の分析によって把握した。その結果,事例企業の開発プロセスに注目すると,大手企業からの支援と濃密な産学官連携ネットワークの存在の二つが,イノベーションを支える地域的な基盤となっていること,イノベーションのためのネットワークは熊本県内という狭い空間スケールを中心に構築されていることなどが判明した。これらの成果については論文を執筆し学会誌に投稿した(現在審査中)。 第2に,2016年4月の熊本地震によって熊本県内企業は甚大な被害を受け,直接的な調査は未だ難しい状況にある。そこで,熊本地震の被災状況の把握と並行して現在の経営課題を明らかにすることによって,企業のイノベーションに対する取り組みについての情報収集を徐々に進めることにした。その関連で,熊本地震による県内企業の被災状況と復旧・復興への取り組みについて学会発表を2回行った。加えて,県内企業への聞き取り調査を2回実施し,被災状況と経営課題の把握を行った。加えて,県内の工業関連団体の協力を得て,アンケート調査を実施できることとなり,その準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年4月の熊本地震により熊本県企業は甚大な被害を受け,2017年度もまだ混乱は続いており,震災に関連しない内容での実態調査を本格的に行える状況にはなかった。
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今後の研究の推進方策 |
熊本地震の被災状況の把握と並行して現在の経営課題を明らかにすることによって,企業のイノベーションに対する取り組みについての情報収集に着手した。これにより研究の進展を図ることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年4月の熊本地震によって主要な調査対象である熊本県内中小企業が被害を受け,また産業支援機関である熊本県の関係機関も自ら被害を受けるとともに,復興支援業務に忙殺されていた。そのようなことから,現地調査を進めることが難しかったためである。 県内の工業関連団体の協力を得られたことから,熊本地震の被害状況に関する調査と並行して県内企業の調査を進めることとする。
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