研究課題/領域番号 |
16K03196
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
上杉 和央 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70379030)
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研究分担者 |
浜井 和史 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20614530)
川瀬 貴也 京都府立大学, 文学部, 准教授 (30347439)
藤本 仁文 京都府立大学, 文学部, 准教授 (90580580)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 沖縄 / 慰霊碑 / 慰霊祭 / 沖縄戦 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、沖縄本島南部・中部を中心として慰霊碑、慰霊祭の調査をおこなった。沖縄本島南部は沖縄県内でも慰霊碑の集中度が特に高い地域であり、これまでも調査を行ってきた。ただし、南風原町域については十分な知見を得られていなかったため、6月に実施した科研メンバーでの現地調査の中で南風原町域の現地調査をおこなった。すると、2000年代以降、南風原町域の慰霊碑は建て替えや改修といった事業がなされており、慰霊碑は「生きた」存在となっていることが分かった。こうした点は現地調査報告書の中で、上杉が報告した。 京都の塔が建立されている沖縄本島中部、宜野湾市嘉数区を対象に、沖縄の地区住民と沖縄県外の遺族団体とのかかわりについて、また訪問者の状況などについて、調査をおこなった。その成果については現地調査報告書の中で研究協力者の奥谷がまとめた。 また、外交と慰霊という視点において、浜井が論文を発表した。 平成29年度は、6月21日に沖縄県立芸術大学附属研究所にて第3回研究会を実施した。これは公開研究会としたが、21名もの参加者を得た。科研メンバー(代表者・分担者・協力者)のうち5名(上杉・浜井・藤本・井口・伊集)が科研の中間報告をおこない、沖縄県内の研究者をはじめとする関心のある方から貴重な意見を受けることができた。沖縄県内での公開研究会は当初、平成30年度に予定していたが、研究の進展を鑑みて平成29年度に前倒しで実施した。結果として、開かれた場での議論を通じてさらなる進展のための方向性を得ることができたため、研究計画の一部変更は良い方向に作用したといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は平成30年度に予定していた沖縄県下での公開研究会について、研究の進展状況を鑑み、前倒しして実施することにした。この計画変更は、プラスの方向での変更であり、科研に参加している研究者の個別の研究が予想以上に進展していることを物語っている。 一方で、沖縄県内の慰霊碑の全体像を把握する作業は、着実に進めてはいるものの、想定通りに進展しているとは言えない状況である。これまで地域の中だけで知られており、研究分野には紹介されていなかった慰霊碑も見つかっており、こうした埋もれた慰霊碑をどのように把握するか、平成30年度に改めて検討することにしたい。 こうした状況を総合的に判断すれば、おおむね順調だ、ということになるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は本科研の最終年度に当たるため、まとめの1年となる。 平成30年度は、現地調査を引き続き実施する一方で、6月に第4回研究会を実施し、これまでの成果を最終確認し、異なる研究分野間を横断するような視点を共有しつつ、慰霊を空間・時間・人といった多様な側面から考えることにする。 研究成果については、年度末にとりまとめ、調査報告書として公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイトを雇い、データ入力作業をしてもらっているが、予定よりも回数が少なくなったこと、また旅費(特に航空券)の変動もあり、若干の未使用額が生じた。未使用額分については、旅費もしくは人件費・謝金で使用することにしている。未使用額は少額であり、その執行による、研究計画の大きな変更は必要ない。
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