化学系企業は、ファインケミカル事業から医薬品原料や医薬品および医療機器の研究開発や生産を行うようになっているものの、工業統計表や薬事工業生産動態統計調査、事業所統計から化学系企業の医薬品や医療機器部門への参入状況、とくに本研究が対象とした事業所内における化学系プラントから医薬品用プラントおよび医療機器製造所への転換状況、さらにはそれらの事業所間の技術的、人的関連についての特質を解明することは困難である。本研究は、統計データ段階での確認ではなく、企業へのヒヤリング、事業所単位でにヒヤリングと現地調査によって、化学系企業の医薬品事業、医療機器事業に対する「技術軌道」の特質を明らかにすることにあった。 ただ、2019年11月1日から中央大学経済学部・学部長兼中央大学理事に就任したことにより、さらに3月に訪問予定であった富士フィルム等の化学系企業に対するヒヤリングについてもコロナウィルス問題が発生したために、今年の秋以降に延期せざるをえなかった。今年の秋には、複数の化学系企業の本社および製造拠点へのヒヤリングと現地調査を実施し、それらの成果をもとに学術論文の執筆にかかる予定である。
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